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「ばんもち」の呼称・南砺物語⑧

日本地図はいつも太平洋側から見た形に描かれています。

学校では太平洋側を「表日本」、日本海側を「裏日本」と教わった。

裏だの表だのという言い方はなんだか変だなあと、子供心に思っていました。

だって「裏」って、暗くて冴えないイメージでしょ。
自分の立ち位置が有利なように決めつけた言い方だなって。

だけど、そんな私も、

「はるばる長き布を引けるがごとく」裾野を広げた表富士は、
裏側からは決して見られないよね、などと自負し、

そういう表側に住んでいることに、
ほのかな優越感を持っていたのだから、我ながら勝手なもんです。

表でも裏でも、富士山周辺の学校の校歌には、
みな霊峰富士が詠みこまれています。

「岳南健児」の私たちは、「国家有為の材たるべし」と富士に誓ったけれど、
私に限っては無理だったなァ。

でも富士の湧き水で産湯を使ったこの私、富士山は特別な存在です!

とかなんとか。

CIMG4983 (2)
静岡県富士宮市

さて、本題に戻ります。

日本地図を逆さまにして日本海側から俯瞰してみると、
今までの通説がひっくり返ります。たちまち裏が表に、表が裏になります。

富山県のHP上の「逆さ地図」で、体験してみてください。

環日本海文化圏。
アジアや北方からの人や文化の流れが見えてくるようです。

江戸から明治中期ごろまで、ここで活躍したのが北陸の商人たちです。

北陸の商人たちは自前の「北前船」で、
蝦夷地と「表日本」、さらに琉球、アジア、ロシアまで行き来していた。

彼らはただ荷を運ぶだけの運送業者ではなかった。

それぞれの出航地でできるだけ安く品物を買い付け、
寄港地ではできるだけ高値で売って利ざやを稼ぐという、
抜きんでた経営手腕がものをいう、商社のような存在だったそうです。

ひと航海で約一億円の儲け。並の商人ではできません。

情報網を張り巡らせていち早く価格の相場をつかみ、
船主は出先機関まで出張り、船頭に取引を任せつつ密に連絡を取る。

幕府御用商人とは違い、権力べったりの商いはしなかったという。

とまあ、ここまではよそ様の本の受け売り。本題はやはり力石です。

人が動けば風俗習慣も移動する。いい例が「獅子舞」です。

ここでは、北陸地方で力石のことを指す「ばんもち」なる言葉が、
どこにどれだけ残っているかをみていきます。

調査してくださった斎藤氏から、こんなメールが…。

「力石への刻銘はというと、驚いた! たったの一件

その一件がこれです。
小矢部市ばんもち
富山県小矢部市柳原・個人宅

これは、わら打ち石を力石に使ったもの。
ご子孫が先祖の苦労をしのび、1985年に保存。ほかに3個あります。

※大阪市北区の大阪天満宮に、三ノ宮卯之助が持った「大盤石」ありますが、
  これについては後述。

また「書付」の石はというと、新潟県妙高市に一か所で、そのうち1個のみ。
 ※書付=文字を石に刻んだのではなく、墨やペンキなどで書いたもの。

「番持石 四拾八貫」

img20210117_17441146 (3)
新潟県妙高市樽本下樽・下樽神社 「碑文 平成八年保存」

新潟が出ましたので、こんな力石もご紹介します。

小学校の創立記念碑に使われた力石です。

この学校に赴任してきた校長先生が、
校庭に転がっていた「六斗目の石」と称する力石を、碑に転用しました。

「門出小学校 創立百周年記念 昭和五十年十月九日
                  富田一男書 小村辰夫刻」

img20210117_17410884 (2)
新潟県柏崎市高柳町門出・門出小学校。酒井正・画

「清く明るく 強く正しく」

残念ながら、この門出小学校は2012年に閉校してしまいました。

その後の様子を取材した方のブログがありますのでご覧ください。
この「百周年記念碑」も残っています。

「学舎の記憶」=新潟を中心とした廃校を旅するブログ=

子供の声が消えて、力石も寂しげです。


※参考文献/「新しい近世史3」「北前船の情報世界」高部淑子 
      「近世・近代期北前船商人の経営展開」中西聡 新人物往来社
       1996
     /「新潟の力石」高島愼助 岩田書院 2007

   
   ーーーーー◇ーーーーー

高島先生ブログ(1・19)

「埼玉県桶川市寿・稲荷神社⑨」

卯之助は今や饅頭にもなり、ストラップにも手ぬぐいにもなった。
でも地元の研究者が発見するまでは、全く忘れられた人だったのです。


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プロフィール

雨宮清子(ちから姫)

Author:雨宮清子(ちから姫)
昔の若者たちのスポーツ「石上げ」に使われた「力石(ちからいし)」の歴史・民俗を調査研究しています。力石のことを少しでも知っていただけたら嬉しいです。

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