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らく、たのしく

人生の大先輩から封書が届きました。

昨年初め、久しぶりに連絡があって、いつもの得意な歴史の話かと思ったら、
電話の向こうから聞こえてきたのは、
「もうダメだ」「おしまいだよ」という悲痛な声。

詳細を明かさないまま電話は切れた。

しばらくして、また電話があった。
「今日はね、ぼくの声を聞いてもらえないかと思って」という。

「実は咽頭がんを宣告されて、3か月半も入院していたんだけど、
放射線治療でなんとか助かったよ。

だけど喉だからね。声が出ているか心配になって。
ダメだったら合唱もできなくなるから」

声は以前と全く変わらないと伝えたら、
「そうか。よかった。ああ、よかった」と明るい声が返ってきた。

しかし、同じころ奥さまが大けがをして寝たきりになってしまい、
今はリハビリ病院に入院中とのこと。

「もう生きていたくないと駄々をこねるんだ。困ったよ」と、ため息をついた。

その後、偶然お会いした町中で、手にしたコンビニ弁当を見せながら、
「今はこんなもので食いつないでいる」と、自嘲気味に。

少しやせたけれど、
しっかりした足取りに、大丈夫、危機を乗り越えたなと思った。

あれから半年ほどたって届いた封書。

開けると、こんなハガキが入っていた。

CIMG5224 (3)

篆書体で、

「楽楽 らく、たのしく」

「八十七歳になりました。
四月八日は誕生日。結婚記念の日。妻は入院しております」

末尾に私へのひと言が添えられていた。

「頑張ってください」


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雨宮清子(ちから姫)

Author:雨宮清子(ちから姫)
昔の若者たちのスポーツ「石上げ」に使われた「力石(ちからいし)」の歴史・民俗を調査研究しています。力石のことを少しでも知っていただけたら嬉しいです。

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