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オーイ、オーイ

「こっちの岸から手を上げて、
オーイ、オーイと呼ぶと向こう岸から舟が来た」

これは「吉川市史」に掲載された地元の方の体験談です。

「こっちの岸」は、埼玉県吉川市側の「須崎の渡し」で、
「向こう岸」は、千葉県野田市側の「今上の渡し」のこと。

地図をご覧ください。

江戸川を挟んで向かって左側が埼玉県、右側が千葉県です。
一番下の赤丸が「須崎の渡し」と「今上の渡し」

真ん中の赤丸は、千葉県最古の力石「万治石」がある八幡神社。
そして、一番上の赤丸が次回ご紹介する上花輪の神明神社です。

IMG_2781 (2)

ちなみに須崎は「すさき」で、「「すざき」と濁らないそうです。

「今上の渡しには、カヤや葭(ヨシ)で囲った番小屋があって、
船頭は二人いた。須崎の渡しは切石積みのちゃんとしたものだった」とか。

さすが運輸業のほか手広く事業をやっていた資産家の蓮沼家(須崎家)です。

特筆すべきは、須崎家の祖母が内務省より委託されて、
江戸川に設置された「水量計」を記録していたこと。

一年中、毎日朝晩2回の記録。
嵐の日は蓑を着て出かけたというのですから、その責任感は並ではない。

「オーイ、オーイと呼ぶと向こう岸から舟が…」

なんかいいですねぇ、情景が浮かびます。

はるばる神奈川からやってきた弥五郎も、
何度かこの渡し舟に乗ったに違いありません。

有名な力持ちを舟に乗せた船頭さん、鼻高々だったでしょうね。
今でいえば人気タレント。当時の男たちのヒーローですから。

現在、弥五郎銘の石は9個
そのうち埼玉に4個、千葉に3個残っています。

ブログでご紹介できなかった一つがこちらです。

img20200401_11354838 (2)
埼玉県三郷市谷中・稲荷神社 71×34余×30㎝

    「大岩石 矢向弥五良 一本木茂助」

で、
埼玉・千葉に年号が刻まれた弥五郎石は何個あるかというと、

一番古い「嘉永元年」の埼玉県春日部市と、
次の千葉県九十九里町の「嘉永二年」
そして「嘉永五年」の須崎・蓮沼伊右衛門の3個です。

この3個のうち、まだご紹介していなかった九十九里町の石がこちら。
嘉永二年のものです。

img20200401_11354838 (3)
千荒葉県山武郡九十九里町田中荒生 面足神社 70×33×27㎝

   「奉納 さし石 四十二メ目 嘉永二己酉年 七月十五日
    當村 金□ 倉□ 兼松 河崎 矢向弥五郎

嘉永四年には、故郷の日枝神社で凱旋興行をしていますから、
弥五郎さん、めまぐるしく行き来しています。

あっちこっちの旦那衆から声が掛かったんでしょう。

須崎の対岸、野田市の上花輪・神明神社の弥五郎石は、
一度、ブログでご紹介しましたが、

地元の方が編纂した郷土史を入手しましたので、
再び、取り上げます。

地元の方が弥五郎を主人公に小説を書いております。

  「ヒタヒタヒタ 水に濡れた重いわらじの、しかも早い足さばきが
  鹿島原の裾づたいに近づいてくるー」

img20200401_13472101 (2)

なんと弥五郎は大蛇を従えた隠密に大変身。

かっこいい~。

<つづく>

          ーーーーー◇ーーーーー

       =ブログのご紹介=

エネルギッシュなtorikeraさんの楽しいブログをぜひ、ご覧ください。

「とりけらのアウトドア&ミュージック日記」

7つの富士塚と3カ所の力石をポタリングで巡った

「さいたま市北区~上尾市の力石だあ!の巻」(4月2日)

は、圧巻です!

3月30、31日の草加市・瀬崎浅間神社の富士塚と力石も、
力石の面白さを存分に見せてくれます。


        ーーーーー◇ーーーーー

※参考文献/「埼玉の力石」高島愼助 岩田書院 2007
       /「千葉の力石」高島愼助 岩田書院 2006
※参考文献・画像提供/「太子堂史誌」太子堂史誌編纂委員会
               平成9年
※参考文献/「吉川市史 民俗編」吉川市史編さん委員会 平成22年
※情報提供/斎藤


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No title

こんばんは!
うわぁぁぁぁぁ、未熟なブログをご紹介いただいて恐縮です。先日は「三重之助」先生からコメントまでいただいてビックリポンでした。
文章が書けないので写真でごまかして、本当に恥ずかしい限りです。これからも勉強させていただきます!(*^_^*)

No title

力石の「今」をリアルタイムで見せていただけて、本当にありがたいです。埼玉の斎藤氏、この方もポタリングで探索しているのですが、torikeraさんのブログを見て、こう言ってきました。

「文章も写真もしっかりハッキリしていて気持ちがいい」

斎藤氏はもともと路上観察が趣味で、あっちこっちを走り回っているうちに目についたのが力石だそうです。以来、ハマッて現在に至っています。

リキまず気楽にサラサラと、力石との出会いを楽しんでいただけたら…。
プロフィール

雨宮清子(ちから姫)

Author:雨宮清子(ちから姫)
昔の若者たちのスポーツ「石上げ」に使われた「力石(ちからいし)」の歴史・民俗を調査研究しています。力石のことを少しでも知っていただけたら嬉しいです。

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