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「バスを待つ」

世間ばなし①
12 /12 2019
博物館収蔵品のご紹介をはじめたはいいけれど、
下調べが間に合わない。

加えて書棚の大整理を始めたので、更新ができない。

で、
いつも温かく応援してくださる「ちい公」さんのブログを拝見していたら、
こんなくだりがあった。

「うしろからトコトコついてくる妻を見て、ふと愛おしく思い…」

「ちい公ドキュメントな日々@タイランド」

少しばかり自己主張の強い日本男性のちい公さんのうしろから、
小柄なタイ女性の妻・PERNさんがトコトコついてくるー。

このときパッと浮かんだのがこの写真です。

「バスを待つ」
img20191212_08151703 (2)
関教司撮影 静岡市蔵

これは静岡市で長年、写真館を営んでいた関教司氏が、
市役所前のバス停でバスの時刻表を見ていたご夫婦を撮影したものです。

撮影年は昭和28年。

袴を着け、白いあごひげをたくわえた夫と、
その夫の一段下に立ち、夫の肩越しにそっと覗いている妻。

足元の下駄の音がカラコロ、カラコロと聞こえてきそうです。

これは5年前の2014年、静岡市文化財資料館で開催された
「昭和・静岡の写真展」
    =町の写真屋さんが見つめたあの頃=関教司氏写真展

この写真を見たとき、もうね、心がふるえました。

作家の志賀直哉をほうふつとさせるご老人と老妻の後ろ姿から、
お互いをいたわり、慈しんできた長い年月がにじみ出ていましたから。

これ以上の説明はヤボですね。

関氏はこれらの貴重な写真をすべて静岡市に寄贈して、
奈良県生駒市へ移住。写真展開催のこの年、95歳でした。


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コメント

非公開コメント

こんにちは

昔の写真のネガ、我が家も80年以前からのものが、
残っていますが、親の写したものがほとんどで、
何時・何処かなど不明です。
そうかといって陽画にするのも経費が掛かります。

やたらと家族を写したものでしょうが、
背景など戦前からなのでどんな写真だろうと。

その後も私の写したものも50年ほど前からで、
小さいネガは反転ですし、老眼ではよく見えません

8mmフィルムも10年ほど前に見ると、
劣化していてカメラ店でも拒否されました。
中のいくつかはDVDにしましたが・・・


こんばんは

80年も前にカメラを手に入れていたなんて、かなりハイカラなご家庭だったんですね。当時はまだまだ高級品だったんじゃないでしょうか。

私は古い写真を見るのが好きですが、今は断捨離とかで個人の思い出はみんな捨ててしまう時代で寂しいですね。

そういう私も身の回りの物を少しずつ整理していますが、捨てる罪悪感にもさいなまれています。でも写真は最後まで持っていようと思っています。特に子供時代や若いころのものは…。

いやはやなんとも

おはようございます姫様
朝からビックリしました。
しかしこの写真いいですね
まさしく私がイメージした夫妻です。
日本人なのです。

懐かしい昭和の写真

>この写真を見たとき、もうね、心がふるえました。

 作家の志賀直哉をほうふつとさせるご老人と老妻の後ろ姿から、お互いをいたわり、慈しんできた長い年月がにじみ出ていましたから。

〇懐かしい昭和の写真
 懐かしい昭和の写真、そこから来る懐かしい日本的雰囲気、御指摘のとおり感動がありますね。
 草々

No title

ちい公さま、勝手に解釈してすみません。でも「ふと愛おしく思い…」に、しみじみじわっと…。

ひと昔前なら「夫の一段下に立ち」なんて書いたら、「女のくせに自分の性を卑下するのか」なんて非難されましたね。でも私がちい公さんの言葉や写真の老夫婦に感じたのは、「妻は夫の従属物といわれてきた関係とは全く別次元の美しさ」でした。

実際、ちい公さんの魔女奥さまは現代っ子のキャリアウーマンで行動派ですし、「古き悪しき日本男児の空威張り」なんて笑い飛ばされそう。

だけど生まれた国も時代も違うそんなお二人に、そのお二人にしかわかりえない情が通い合っている。素晴らしいなあと。これは羨望を込めて思ったのであります。

No title

レインボーさま、ありがとうございます。

これは敗戦8年後の写真です。
静岡市は大火と米軍の大空襲で焼け野原になりましたが、この市役所とその先にある日赤の大木は残りました。でも市役所の隣にあった御用邸は焼失。大木は今も生き続けています。

このご夫婦はそういう戦火を潜り抜けてきたんだと思います。ご老人の痩せた背中ときちんと折り目のついた袴に、凛とした姿勢が感じられます。また対照的にちょっとふくよかな奥さまには安らぎを覚えます。

大変な時代を生き延びたお二人の背中に、戦地で息子たちを亡くして二人だけになった悲哀と絆と強さを見たのは私の思い過ごしでしょうか。

雨宮清子(ちから姫)

昔の若者たちが力くらべに使った「力石(ちからいし)」の歴史・民俗調査をしています。この消えゆく文化遺産のことをぜひ、知ってください。

ーーー主な著作と入選歴

「東海道ぶらぶら旅日記ー静岡二十二宿」「お母さんの歩いた山道」
「おかあさんは今、山登りに夢中」
「静岡の力石」
週刊金曜日ルポルタージュ大賞 
新日本文学賞 浦安文学賞