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2個目の新発見・後篇

塩出(しょで)の枝垂桜を堪能して、再び元の道を引き返す。
行き先は巡り沢集落の祥禅寺です。

祥禅寺の入り口です。

創建不明。
この寺は戦国時代、甲斐の武田信玄の駿河侵攻に伴い、
武田の重臣・穴山梅雪の庇護をうけた。臨済宗妙心寺派。

石柱が傾いているわけではありません。私の撮り方が悪いのです。
CIMG4720.jpg
静岡県富士宮市(旧芝川町)内房巡り沢

増田文夫氏は著書「内房の力石」にこう書いています。

「以前、望月衛さん(当時93歳)にお聞きしたら、
巡り沢にもかつては力石があったと言った。
衛さんが小学生のころ、今の集会所のところに公園があって、
力石はそこにあった。子供たちが数人で転がすのがやっとだったという」

子供だった衛おじいちゃんが見たときから、すでに約90年
力石は公園から姿を消して、行方知れずになっていた。

一体どこへ?と探し歩く増田氏。
そんなある日、
この祥禅寺の入り口で、一個だけ石垣からはみ出ている石を発見。
衛さんに確認すると「これのようだ」と。

静岡県内での267個目の力石です。

寺の入り口です。
みなさま、どこに力石があるかわかりますか?

CIMG4725.jpg

答えは、
「2基ある庚申塔のうちの右側の庚申塔をごらんください。
その庚申塔の下部に刻まれた三猿の右横にあります」

言われなければ絶対わかりません。
増田さんの執念眼力に脱帽です!

で、この力石、石垣に頭の先っぽだけを突っ込むような形で、
コンクリートで固定されていました。

「ぼくもみんなと同じ仲間に入れてよー」って叫んでいるみたいに…。

   石垣の仲間はずれか力石   雨宮清子

さらに近づいて見ると、こんな感じ。
力石を見下ろしている石垣の石(赤矢印)、
なんだか人の顔に見えません?

しかも不気味に笑っている。

上の写真にも、「不気味に笑う石」の顔が半分写っています。

CIMG4723.jpg

  
  石垣仲間はずれの力石を笑う   雨宮清子

この人面石?を見て、私、ゾーッとしたんですよ。

角度をかえてみてもやっぱり不気味に意地悪っぽく笑っている。

その笑う石の右下には、
眉間にシワを寄せた武士みたいな怖いオッサンまでいる。

  石垣力石の孤独を笑う   雨宮清子


CIMG4724.jpg

 
ああ、哀れなり、力石!

と、少々暗い気持ちになったけど、落ち着いてよくよく見直したら、
さっきまでの不気味さや意地悪っぽさは消えて、

「一人ぼっちの力石さん、私たちがいつまでも見守っていてあげますよ」

なぁ~んて言っているような、
そんな慈母のごときお顔に見えてきた。

でも、家に帰って改めて写真を見たら、やっぱりゾッとした。


※夏目さんから投句をいただきました。

  重てえなぁ力石(おめぇ)代われよこの俺と   夏目

な~るほど。そういう見方もありましたか。 
石垣で居続けるのも大変なんだ! 

ついでにおまけ。
この石垣はこんなふうに本堂へと延びております。
石垣の石、あっち向いたり、うつむいたり、そっぽ向いたり…。

CIMG4727.jpg


※参考文献/「内房の力石」増田文夫 私家本 2019
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人面石

「重てえなぁ 力石(おめぇ)代われょ この俺と」

増田氏の執念、凄い!

No title

雨宮さん、おはようございます。

無理、絶対無理
拡大写真でコレって言われて
え、埋め込まれてるじゃん..
力石って埋め込まれるVerもあるんですね。
確かによく考えたら石垣と違って、
ぽつんとあるのが埋め込まれるのも不思議と
いえばそうですが
紛失しないように、埋め込まれたんですかね。

おはようございます

おっしゃるように、力石を持ったりよく知っている人が紛失を惜しんで埋め込んだと思います。城の石垣にも呪術的な意味で地蔵さんや墓石を埋めたりしたそうですが、力石も石垣に使っている例があります。

函南町の「仁田館遺跡」出土の力石は、確か柱の土台に使われていたと思います。この石には「二十四メ」の刻字があったので力石と判明しました。まっさらな心の若者たちの力が入魂された「神の石」ですから、そういう特別な力を借りたのではないでしょうか。でも何も知らず、ちょうどいい石があるからと使ってしまった例も多いです。

こういう力石を見つけたとき、私は「見つけてくれ。忘れないでくれ」という昔の人の声を聞いたような気がするのです。

祥禅寺の力石を発見した増田さんは長年、地元の石造物調査をされている方なので、地道な調査と培った勘で発見されたと思います。こういう発見を私は「石が呼んでいる」と言うのですが、増田さんも石に呼ばれたのかもしれないですね。
プロフィール

雨宮清子(ちから姫)

Author:雨宮清子(ちから姫)
昔の若者たちのスポーツ「石上げ」に使われた「力石(ちからいし)」の歴史・民俗を調査研究しています。力石のことを少しでも知っていただけたら嬉しいです。

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