fc2ブログ

年がら年じゅう力んでいる「力神」のお話

力石余話
08 /14 2014
盃状穴力石も、歴史学者や民俗学者が素通りしてきてしまった
庶民の文化遺産だと思っています。

私が住む静岡市に、今、歴史博物館を作る計画があります。
その博物館の庭に「ぜひ、力石を」とお願いするのですが、
なぜか皆さん笑います。

決して取るに足らないものではないんですけどね。
いずれ、他県での保存などの取り組みについて、ご紹介していきます。

さて、盃状穴のお話はひとまず終わり、そのこぼれ話をご披露します。
静岡浅間神社に架かる石橋の「盃状穴」を見に行った折、
楼門の力神(ちからがみ)が目に入りました。

これです。重い梁を背に受けて、がんばっております。
CIMG1472.jpg
筋骨隆々。お腹も出ています。全身金色。有名な立川流彫刻です。

こちらは本殿の力神です。
choukoku2.jpg
全身真っ青。中央で屋根を支えています。妻飾りというんだそうです。
足元で天女がのんびり笛を吹いています。

こちらは、祭りの山車に施された力神です。
「宮大工(株)飛鳥工務店」(静岡県掛川市浜野)の制作です。
IMG_9894.jpg
立川流彫刻。台輪にかかった足の親指に力の漲りを感じます。

棟梁がご自身のブログでこうおっしゃっています。
「我ながらいいケヤキを使いました(笑)。
腹も膝も等高線のように木目が出るように考えて、吟味し、木造りしました」

こちらは、石造の力神です。
img217.jpg
静岡県島田市・白岩寺。黄檗宗のお寺です。

元は近くの愛宕神社の門番だったこの力神、昭和63年に盗難にあいました。
ところがドロボーさん、重くて途中で捨てていったので、
この寺に安置されたとか。

年がら年中、屋根や梁を支えてがんばっている力神ですが、
姫路市の円教寺には、重さに耐えかねて逃げ出した力神がいるそうです。

で、この力神ってどんな神様かというと、
天岩戸に隠れた天照大神を引き出した「天手力男(アメノタジカラオ)神」
という説があります。岩屋の戸の大岩を両手でぶん投げたという力の神です。

似たような神さまに「引手力命(ひきてちからのみこと)」がいます。
天手力男神は山の神で、引手力命は海の神らしいのです。

静岡県沼津市にこの引手力命を祀る「大瀬神社」があります。
ここでは、若者が海の小石を詰めた俵を背負い、
神社に奉納する風習がありました。
力石を担いで一人前になったのと同じ「成人への通過儀礼」と言われています。

ちなみに、これは昭和10年ごろの「俵さし競技」です。
img234.jpg
力石同様、俵を使った力くらべも盛んでした。

静岡市駿河区下川原在住の男性の話では、大瀬(おせ)神社と同じように、
青年団へ入るとき、安倍川の小石を俵につめて天満宮へ運んだそうです。

重くてねえ、大変だったよ。
だけどこれやらないと、一人前の男として認めてもらえないから、
まずハー、がんばったよォ

いにしえの若者はみな力神   雨宮清子

※祭り山車・力神の画像提供/「宮大工(株)飛鳥工務店・棟梁のブログ」
※俵さし競技の画像提供/「ふるさと東豊田」
  郷土誌編集委員会・静岡市立東豊田小学校PTA  昭和58年
スポンサーサイト



コメント

非公開コメント

No title

いつも楽しく又、知識が豊富になるブログを有り難う御座います。静岡浅間神社の建築物は国の重文、26棟があり、絢爛豪華ですが一般の方々への認知度は低いです。紹介して頂いたご本殿の妻飾りの力士や楼門の持送りの力士、阿形、吽形はガイドする時にも力を入れて説明しています。力石の先生に着眼して頂き感謝です。他にも見応えのある作品が沢山あります。是非、浅間神社の良さを再発見して頂きたいと思います。

No title

s.h.様
ありがとうございます。

最近、静岡浅間神社は久能山東照宮や本宮に押され気味ですね。

No title

こんにちは。

「力神」で検索していたらヒットしました。ちから姫さんの記事は、やっぱり「力」が力が入っていますね。(笑) 

参考になりました(^_-)-☆

torikeraさんへ

こんな記事も書いてたんですねえ。
と、改めて自分の書いたものを「なるほどねえ」などと他人事みたいに読んでみました。力神って、私は「ちからがみ」と読みますが、神社では別の言い方をしていました。確か「りきじん」。私は断然「ちからがみ」です。

「力が入っている」って、そうなんですよ。
私は感情移入の激しい人なので、年がら年中、力神状態。
おかげで毎日が「頭痛、肩こり、樋口一葉」です。

No title

毎日が「頭痛、肩こり、樋口一葉」の樋口一葉って何ですか? (笑)

夏目さんへ

これは井上ひさしさんの小説の題名です。
それを拝借してちょっとシャレて見たんです。(笑)

雨宮清子(ちから姫)

昔の若者たちが力くらべに使った「力石(ちからいし)」の歴史・民俗調査をしています。この消えゆく文化遺産のことをぜひ、知ってください。

ーーー主な著作と入選歴

「東海道ぶらぶら旅日記ー静岡二十二宿」「お母さんの歩いた山道」
「おかあさんは今、山登りに夢中」
「静岡の力石」
週刊金曜日ルポルタージュ大賞 
新日本文学賞 浦安文学賞