FC2ブログ

平原直先生

前々回、自宅の庭で力石を前に微笑む平原直氏をご紹介しました。

昭和2年に日本通運に入り、極寒の北海道や豪雪地帯、
また炎天の地で働く荷役現場の人たちをつぶさに見てきた方です。

そして、
「利害打算を超越し、日々真っ黒になって荷を担いでいる彼らを
なんとかその重労働から解放したい」との思いから機械化を模索します。

平原先生の著作は、
静岡県内の図書館には「荷役現場を守る人々」1冊しかなく、
それが館外持ち出し禁止の貴重本だったため、
私は所蔵する隣町の図書館へ何度も通いました。

「高温・多湿・重荷。塩分を口にしながら働く彼ら」

「城の土台石の下積み石のように、
我が国の運送事業を支えているのは、こうした荷役現場の人々である」

平原先生は苛酷な状況にいる彼らに寄り添いつつ、
「功績は他人に譲り、自らは人目につかぬところに隠れて、
黙々として自分の職責を守ってゆくことに努め、
この世の塩となって埋もれてゆく」

そんな彼らの純粋さに心を揺さぶられます。

img265_2018042917233969f.jpg
静岡市・清水港の茶箱を担ぐ荷役の人たち

「この人たちが荷を担ぐことをやめたら、
日本の産業は活動が止まる
そんな重要な仕事なのに、報われないことを少しも不平と思わず、
明けても暮れても荷物と取り組み、汗みどろ、血みどろになって…」

その結果、
「肩にこぶをつくり、背骨が曲がり、内臓や筋肉疾患を発生させている」

そのことに心を痛めた平原氏は、
「寿命を縮める肉体酷使はもはや正しい労働の姿ではない」として、
荷役改善を模索。日本通運の中に、
ホッパー、ベルトコンベヤ、クレーンなどの導入を試みます。

荷役現場の人たちに車や重機の運転を習わせ、ドライバーとして養成。
しかし、長年、自らの体と力に誇りを持ってきた彼らです。
自分たちから仕事を奪うのかと、
「最初はみんなソッポを向いた」

抵抗する荷役の人たちと説得に苦戦する若き平原氏の姿が浮かび、
私は図書館の資料室で、一人「ウフフ」
でも活字を追うごとに胸に沁みこんできたのは、
平原先生の温かなまなざしでした。

しかしこれ以上、先生のことは知りようがない。
そうあきらめていたとき、埼玉の斎藤氏からメールが来ました。

「ネットに流通経済大学野尻俊明学長の記事が出ていますよ」

記事は大学時報に載った「「力石」への思い」という随想でした。
驚きました。
そこには平原先生と全く同じあの「まなざし」がありました。

その夜すぐ、大学宛てにメールを出しました。

相手にしていただけるかわからないけど、出さずにはいられなかったのです。


スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

雨宮清子(ちから姫)

Author:雨宮清子(ちから姫)
昔の若者たちのスポーツ「石上げ」に使われた「力石(ちからいし)」の歴史・民俗を調査研究しています。今、「力石からバーベルへの道」を書いています。

お願い
このブログに掲載されている 写真・記事等には著作権があります。 無断使用はご遠慮ください。
カレンダー
11 | 2018/12 | 01
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
最新記事
最新コメント
訪問者数
ブログランキング
ブログランキング
ランキングに参加しています
カテゴリ
月別アーカイブ
最新トラックバック
リンク
検索フォーム
RSSリンクの表示
QRコード
QR