友、遠方より来たる①

10月3連休は、石川県金沢市から友人を迎えて楽しみました。

昔、私が出した山登りの本を読んで、
「お母さんになっても登山を続けていいんだと勇気をもらいました」
というお手紙を下さった方です。
所属する山の同好会で静岡市へ旅行に来ることになり、
彼女だけ一日早く来静。なんと、27年ぶりの再会です。

お互い、孫を持つ身と相成りました。

初日の半日は由比の「薩埵(さった)峠」へ軽いハイキング。
由比といえば桜えび、というわけで、まずは腹ごしらえ。

生の桜えびです。
秋漁は今月末なので、今はまだ冷凍ですが美味。
CIMG3939.jpg

桜えびはなんといってもかき揚です。私は獲れ立てを自分で揚げます。
桜えびに粉をふりかけ、水を2,3滴垂らすだけ。
それを大さじに入れて油の中へ流します。

窓いっぱいの駿河湾をながめながら、塩を振りかけて、
「いっただきまあす!」

CIMG3941.jpg
静岡市由比・「くらさわや」

満腹になったところで、今度は昔ながらの家並を抜けて「望嶽亭・藤屋」へ。
ここは江戸時代の茶店だった家で、旅日記や広重の絵にもなっています。
かつてお世話になったご主人の松永宝蔵さんはすでになく、ちょっと寂しい。

「静岡の力石」の表紙に使わせていただいた
宝蔵さんの力比べのスケッチです。

img353.jpg

宝蔵さんに似たご親戚の方に招き入れられて、お話を聞く。

絵描きになりたかったが農家の長男だったから断念したという宝蔵さん。
「独学で覚えた」と言っていた絵が部屋中に飾ってあった。
「七福神」の手ぬぐいを購入。
おさえた色合いの多い宝蔵さんにしては珍しくあでやかだ。

松永宝蔵画「七福神」の一部。
弁天さまにだけ足袋?を履かせているのが、心温かい宝蔵さんらしい。

img347 (2)img157.jpg

続いて、昔、新聞連載の記事のため何度もおじゃました蔵座敷へ。
懐かしいなあ。
宝蔵さんの「官軍に襲われて望嶽亭に逃げ込んだ山岡鉄舟はッ!」
の名調子を聞いたのがつい昨日のよう。

山岡鉄舟が置いて行ったフランス製のピストルも、
戦後ここへやってきたオリバー・スタットラーの礼状もそのままあった。

スタットラーは米軍の軍属で、美しい日本の宿に魅せられ、
興津にあった水口屋という旅館とそこを取り巻く人々を描いた
「水口屋ものがたり」を書いた。これは英訳、ドイツ語訳、日本語訳になった。

望嶽亭はこの水口屋とは親戚で、侠客・清水次郎長とも深い関わりがあった。

蔵座敷の窓です。
CIMG3948.jpg

窓の向うに東海道本線と国道、高速道路、
その向こうに見えるのが駿河湾です。
地震で隆起したため現在のようになったが、江戸時代は窓の下がすぐ海で、
海女さんが獲ったアワビやサザエを、その場で焼いて旅人に出していた。

狂歌師の大田蜀山人は、
「ここのアワビやサザエを楽しみにしてきたのに、
松平近江守の一行がいて占領していたので、仕方なく隣りの茶店に行った」
と旅日記「改元紀行」に書いている。

蔵座敷には隠し階段があって、私たちは特別、下へ降りさせていただいた。
地下もまた広い空間になっていて、
漆喰を施した三重の扉で密閉されていた。

火事になったときすぐ新しい家を建てられるよう、
ここに一軒分の木材を保管していたという。

CIMG3945.jpg

官軍に追われた山岡鉄舟はこの隠し階段から海へ逃れ、
次郎長が用意した小舟に乗って、西郷隆盛の待つ駿府を目指した。
これが「江戸城無血開城」につながったという。

学者さんたちは「あり得ない話」といいますが、
松永家では代々、そんな話を伝えてきたのでしょう。

そんなこともあって説明のおじさんは、
「これはあくまでも言い伝えです」との言葉を添えていました。

広重が描いた「望嶽亭藤屋」です。
右側の建物が望嶽亭です。切り立った崖は、
河竹黙阿弥がここを舞台に書いた歌舞伎「切られお富」の名セリフ、

「総身の疵(きず)に色恋も、薩埵峠の崖っぷち」の薩埵峠です。


由比隷書
隷書版「東海道五十三次 由井」

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こんにちは

静岡、姫のブログでますます興味が出てきます。
何年か前に「東軍慰霊祭」で何時間か居ましたが、
歴史(特に幕末)がさらに身近に感じられます。

今回の美味しい店や伝聞にしても楽しい話は、
わくわくします。
東京から近いですから、富士山を見ながら行きたいものです。

次も、楽しみにしています。

No title

one0522さま、

ぜひお越しください。
やっぱり雪を被った冬の富士山の方がいいですよ。

薩埵峠は人気コースです。
今回は由比駅と遊歩道を往復しました。
由比側には旧東海道と古い家並みがそのまま残っています。

桜えびの漁期には沿道で釜揚げしらすや桜えびを干していたりします。ここの方たちはみなさん、とっても親切です。「望嶽亭」は宝蔵さんが亡くなられてから娘さんが通いできていますので、事前に電話で聞かれるといいと思います。
蔵座敷は必見です。

また、峠に駐車場がありますので、
海と富士山だけ見に来る方もいらっしゃいます。
ちなみに富士山は富士宮市からだと雄大。身延線富士宮駅から沼久保駅までの区間は富士山とその裾野に広がる町が一望できます。

山ほどの櫻エビ

金澤のやまのぼり女子もこの見事なやまもりの櫻エビを召し上がったよううですね。
ワタクシと同郷のやまのぼり女子も駿河名物を堪能してさぞご機嫌だったことでしょう。
ワタクシからもあつくお礼申し上げます。

No title

ヨリックさまの栗ごはん、おいしそうです!!
皮をむくのが大変なのに、凄いなあと思います。

彼女はなんでも好き嫌いなく食べてくださって。
せっかくダイエットしてきたのに、滞在二日間で2㎏増えちゃったそうです。
私もちょっと警戒水域です。でも秋ですものね、何でもおいしくて。
プロフィール

雨宮清子(ちから姫)

Author:雨宮清子(ちから姫)
力石(ちからいし)のことを知ってほしくて、ブログを開設しました。主に静岡県内の力石と力石を詠んだ句や歌、力石探しのつれづれを発信していきます。

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