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668個目の新発見

斎藤ワールド
10 /24 2016
「力石、新発見! 今までにない異色の力石です!」

埼玉の研究者、斎藤氏から興奮したメールです。
斎藤氏はこれまで667個もの力石を発見している方です。
今年だけで(10月現在)、今回の新発見を含め24個も見つけているんです。

あんまり矢継ぎ早に見つけるので、こちらは数がわからなくなって、
しばしば、「今、何個目でしたっけ?」と問い合わせるので、
そのつど、斎藤氏を失望させています。

なにしろ、斎藤氏の新発見の力石は、
今回の石も含めて668個という大量ですから。

しかも、過去、数多の研究者が見逃してきた立派な刻字石ばかり。
その眼力、手腕、フットワークのよさは天才的。群を抜いています。
(ヨイショ)

今回、新たな発見を知らされた私、思わずヒエーッ!
この新発見の記録、一体、どこまで伸ばすつもりなんだろうと思いつつ、
送られてきた写真を見て絶句。
だって、異色も異色。こんなの今まで見たことない。

これです。
1斎藤桜もち
東京都墨田区向島

どこにあったかといいますと、
隅田川河畔の土手、昔は「墨堤」(ぼくてい)といっていましたが、
その遊歩道沿いの有名な「桜もち」の店の前、首都高速の下の
「隅田川石庭」の一隅にありました。

近くに長命寺があります。

ちなみに江戸時代、ここは桜の名所として有名でしたが、
なぜ、川の土手に桜を植えるのか、
先日、古文書を読んでいて知りました。

桜を植えると人々が花見に来る。大勢の人が堤(つつみ)を歩くことで、
堤の土が踏み固められて強固になるから、とありました。

花を見に人が集まる、手間をかけずに堤は固まる、店は商売繁盛。
うまいことを考えたものです。

力石を、
遊歩道沿いの「隅田川」石庭」に埋めてあったことも異色ですが、
なんといってもそこに刻まれた文字、
これこそ異色の刻字、胸を打つ言葉です。

2斎藤桜もち
89×34×6余㎝

※「6余㎝」は地上に出ている高さです。
 地下に埋まっている部分は計測不可能なため。

4斎藤桜もち

 「東男の大石持 國技を偲ぶ 江戸趣味力遊び
                昭和二十□年 喬太郎書」


斎藤氏は「二十□年」を「二十九年」ではないかと推測しています。

同じ二十九年の力石は、江東区牡丹・住吉神社の「東光石」、
千代田区神田須田町・柳森神社の「勇老」
「力石建立」の3個が
確認されている。「たぶん、同時代のものだろう」と斎藤氏。

私は3年前、ここを通ったんです。
桜もちを食べようか迷い、
でもまだ見るところがたくさん残っているし、というわけでお餅を断念。
次の長命寺へ入り込み、三囲神社へと急ぎました。

ああ、残念!
あのとき私は、スカイツリーなんぞに心を奪われておりました。
なんせ、おのぼりさんだもんで…。

CIMG0945 (2)

それにしても「東男の…」なんて、粋ですねえ。

もう一人、石に「東男」を彫付けた力持ちがいます。
力石をバーベルに持ち替えて優勝した神田川徳蔵です。
こういう、歌を彫付けた石を「歌石」といいます。

CIMG3856 (2)
東京都千代田区神田須田町 柳森神社  70余×52×27㎝

 「東男の力を飾る祭りかな 
   大正十四年九月二日 神田川徳蔵 持之」


実際の歌の文字は図の通りです。

みなさん、「墨堤」の「長命寺桜もち」店あたりへ行かれたら、
「隅田川石庭」に埋め込まれたこの「東男」(あずまおとこ)に、

ぜひ、会ってあげてくださいね!

=追伸=

斎藤氏からこんな写真が届きました。「桜もち」店前の掲示板です。
正岡子規斎藤

明治35年に34歳の若さで亡くなった俳人・正岡子規は、
21歳のころ、この桜もち屋に下宿していたそうです。

どうやらもち屋の娘さんに恋をしたみたい。

桜もちや隅田川を詠んだ句や歌もたくさんありますが、
私はこの句が一番好き。

25歳の子規が菅笠をかぶり、杖一本に命をあずけて箱根峠を越えた時の句。

旅の旅そのまた旅の秋の風

人生に迷いを生じてこの峠越えを思い立ったそうですから、
ひょっとして、失恋しちゃったのかな?

でもまあ、私の旅はいつもこんな感じですけどね。

旅の旅そのまた旅でリフレッシュ


※情報・写真提供/斎藤氏
※参考文献・作図提供/「東京の力石」高島愼助 岩田書院 2003
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コメント

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おはようございます

すごい!

斎藤氏、すばらしいですね。
この辺りは、以前何度も通っていたのに気がつかなかった。

正岡子規のはなしは有名ですしね。
ここのお嬢さんとは昵懇でしたね。

花見も何回か行きました。
芸者さんもいて接待していましたし、
なるほど、人出も多かったです。
このころ川では、レガッタもありますね。

懐かしい話と、力石の話ありがとうございました。
次は、下を見て歩きます♪

♪下を向いて歩こう

one0522様
コメントありがとうございます。

人生は前を向いて、石探しは下を向いて(笑)

でも私は、道端に転がっていた冬瓜を力石と間違えたことがありました。

斎藤さんは本当にすごい人です。
足はほとんど自転車。
石探しは地図を片手にコツコツ歩かないと探せないので…。

私は地図を片手に歩くことと、文献から情報を得て直接出かける方法をとっていました。山間部がほとんどなのでタクシー使ったり、師匠や友人の車で廻ったりしていました。当地はほとんどが無銘の石なので、もう新発見は無理。

それにしても東京は、庶民の文化財も大切にしていて、うらやましいです。

思わぬ處に

すごい発見をする人もいらっしゃる!
こうなったら姫もリベンジ、がんばらなくっちゃ。
旅や旅石を見る目もリフレッシュ

No title

ヨリックさま
コメントありがとうございます。

斎藤氏は力石にぞっこん惚れ込んでいますが、お祭りも大好きな方です。
関東一円を歩いたのですから、その行動力には脱帽です。

私はなんせ、力石と冬瓜を見間違えるほどおっちょこちょいなので
新発見は期待薄。

力石(いし)発見勇んで寄ればなんと冬瓜

雨宮清子(ちから姫)

昔の若者たちが力くらべに使った「力石(ちからいし)」の歴史・民俗調査をしています。この消えゆく文化遺産のことをぜひ、知ってください。

ーーー主な著作と入選歴

「東海道ぶらぶら旅日記ー静岡二十二宿」「お母さんの歩いた山道」
「おかあさんは今、山登りに夢中」
「静岡の力石」
週刊金曜日ルポルタージュ大賞 
新日本文学賞 浦安文学賞