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はまり込んだら抜けられませんぜ

力石余話
03 /26 2016
由比の力石を一回お休みして…。

私は「力石」という認知度の低い石のお話を書いています。

全国津々うらうらはいうに及ばず、諸外国にもあるこの力石、
平安鎌倉から昭和初期に至る長い歴史があるにもかかわらず、

「紙」の資料しか有難がらない歴史家や歴史愛好家には、
「あんなマイナーもの」と蔑まれる、まことに不運な石でございます。

新助、喜八コンビの力石です。
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東京都港区白金・立行寺 60×40×38㎝  S氏撮影

「奉納 寛政六申寅年 市谷八幡前 新助 喜八」

でもそのマイナーゆえの味はまた格別。
この面白さにはまったら、抜けられません。

岡本かの子、あの芸術家・岡本太郎のお母さんですが、
そのかの子さんが書いた「東海道五十三次」という作品のなかに、
こんな記述があります。

「この東海道には、
東海道人種とでも名付くべき面白い人間がたくさんいるんですよ。
その東海道人種の一人、作楽井(さくらい)さんが言ったんです」

『東海道というところは、
うっかりはまり込んだら抜けられませんぜ』

「この作楽井さん、元は小田原の穀物商。
商用で東海道へ足を踏み出したら病み付きになり、ついに一家離散。
以来二十年、
用もないのに道中双六のように、
東海道を住み家に上ったり下ったり」


img968.jpg
旧東海道・静岡市 宇津ノ谷集落

最近はこの零細ブログを訪れてくださる方も増えてきて、
さらに力石の報告をしてくださる方もいて、感激しております。

本当にうれしい!

できるだけ多くのみなさんに知っていただくことが、
文字として残りにくかったこの庶民習俗、文化を、
消滅させない力になりますから。

東海道のおまけをもう一つ。
井上ひさし「新・東海道五十三次」の中で、
こんなことを言っています。

img967.jpg
「日本名著全集下巻」日本名著全集刊行会 昭和2年

「東海道は仏道である」
「法華経に入法界品の一章があって、それに仏の道へ入るために
善財童子という少年が、
南方諸国の五十三善知識を訪なったときの一部始終が書かれている。

五十三人の善知識人には老者あり病者あり遊女あり。
これは街道を歩くのと同じこと。
ゆえに東海道とは仏の教えを求める道、すなわち求道である

私も「はまりこんだら抜けられなくなった作楽井さん」になりましたが、
これは「仏道、求道」ですから、おおいに精進いたします。

img969.jpg
浜松市新居・教恩寺

いにしえの寺のイチョウを訪ぬれば
            虚ろな穴を残すひと株
  雨宮清子
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コメント

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\(^o^)/ はじめまして

\(^o^)/
はじめまして

戦国時代を追いかけて 日本の歴史つまみ食い紀行様の開口神社のちから石に紹介されていましたのでワープしてきました。

正しいマスコミ報道を求めていることと、伝統文化・・・古代に興味のある無責任な爺さんです。

出来るだけ拝見したいと思いますので、宜しくお願いします。

無責任男 拝


作楽井さん

ワタクシが高校生だったころ、国語の時間に岡本かの子、これを読みました。
卒業し、就職し、また故郷を離れて東海道すじに住まいを変えたとき、一番先に、丸子・宇津ノ谷峠、など歩きました。
ワタクシはいま泉光院にはまっていますが、枕頭には善財童子像がいて見守っていてくれます。
泉光院が自国へ戻り、ワタクシにまだ命あらば次は五街道を歩きたい、そしてまず東海道を歩きたい、と深みにはまりながら考えております。
その間、よろしくお付き合いくださるようお願い申し上げます。

No title

ちから姫 様

路傍学会をご紹介いただき恐縮です。
まだまだ初心者で、ちから姫様の行動力には遠くおよびませんが、こらからもこつこつ身の回りの風景を紹介していきたいと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。

 路傍学会長 拝

はじめまして

無責任男さま
ご訪問、ありがとうございます。

お名前がすごいのでちょっと引いてしまいましたが、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

あのあたりは変わりました

ヨリック様

丸子や宇津ノ谷あたりは随分変わりました。
道の駅ができたり、街並み景観賞をもらったり。
でも家並は変わりません。

私も命あらば東海道を歩きたいです。
他の街道は一部しか歩いていませんからわかりませんが、
やはり東海道は見どころ満載で華やか、
交通便利ですから歩きやすいですね。

楽しみにしています

路傍学会長様

これからも「身のまわりの風景」、楽しみにしています。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

もう、ずっぽり

こんにちは。ご紹介いただき恐縮しております。
力石を記事にしたところ、同じ大阪拠点の神社巡りの方から力石のある場所や、こんな所にある気がするよと教えていただいたり、長野の方からは雷電の生家訪問記事を見せていただいたり、皆様よくご存知なんだなーと嬉しかったです。
力石に触れた時の感動ったら。ほんとに雨宮様に感謝です。
これからも何卒よろしくお願い申し上げます。

持つべきものは、ですね!

つねまる様

情報がたくさん集まったようでウラヤナジイー。
持つべきものはやっぱり友ですね。

形あるもの、目鼻があるものはもちろん魅力的です。でものっぺらぼうの石もそれ故にまた違う面白さがあります。
また見つけましたら、どんどんブログで紹介していってください。心強いです。

間違えました

ウラヤマジーでした。

雨宮清子(ちから姫)

昔の若者たちが力くらべに使った「力石(ちからいし)」の歴史・民俗調査をしています。この消えゆく文化遺産のことをぜひ、知ってください。

ーーー主な著作と入選歴

「東海道ぶらぶら旅日記ー静岡二十二宿」「お母さんの歩いた山道」
「おかあさんは今、山登りに夢中」
「静岡の力石」
週刊金曜日ルポルタージュ大賞 
新日本文学賞 浦安文学賞