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北斎の「力くらべ図」

力石・力士の絵
06 /23 2014
力石とそれを担いだ力士たちの絵が数多く残されています。
主に錦絵ですが、現代でも絵本やカルタなどに見ることができます。

ちなみに江戸時代は相撲取りのことを「関取」、
力持ちのことを「力士」と呼んでいました。

今回は江戸後期の絵師葛飾北斎の絵です。
北斎といえば、「富嶽三十六景」が浮かびます。
この名作、71歳から74歳のとき描いたというのですから、
すごいエネルギッシュなご老人ですね。

ここでご紹介するのは北斎絵手本に出てくる「力くらべ図」
これです。

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    永田生慈監修 「北斎絵手本」(五) 岩崎美術社 1995年

片手で石か俵を持ち上げている「力者」が描かれています。

力石を挙げる方法はいろいろありますが、
この絵は「片手ざし」「片手留め」という技法です。
足で挙げるのを「足ざし」。ほかに曲持ち、振りさしなんてのもあります。
スペインのバスク地方で今も行われている競技は、「石回し」。
大きな球形の石を使い首の周りを何回まわせるかを競います。

この「絵手本」は、
いちいち手ほどきをしていられない弟子たちのために、
絵画学習の教科書として描いたものだそうです。

北斎は幕末の嘉永2年、90歳で亡くなります。
画狂老人、為一、卍などと改号すること30回、引っ越しはなんと93回。

なにしろ絵に没頭するあまり掃除ができない。
部屋がゴミだらけになると引っ越していたとか。

この「天才奇人」の辞世の句がこれです。

人魂で行く気散じや夏野原
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コメント

非公開コメント

No title

片手さしの絵が愉快ですね。昔の人は力石を担ぎ上げてギックリ腰になったり、ケガをした様なことはなかったのでしょうか。

No title

片手さし、すごいですね。 これはもう気功に近いんじゃないかな。 指先1本で倒立したりするやつ。 指の先に氣を集めるんです。 昔の人の方が「練れて」いたでしょうから。

No title

s.h..様
コメントありがとうございます。

昔は石を担いでそれを持ちこたえられず、ケガをしたり死亡したこともあったようです。

No title

み・ねやまん様
コメントありがとうございます。

力任せでは担げなかったようです。
担ぐにはコツがあって、歯が丈夫であることや呼吸法などが大切で、お腹をしっかり締めることで力が出たようです。

雨宮清子(ちから姫)

昔の若者たちが力くらべに使った「力石(ちからいし)」の歴史・民俗調査をしています。この消えゆく文化遺産のことをぜひ、知ってください。

ーーー主な著作と入選歴

「東海道ぶらぶら旅日記ー静岡二十二宿」「お母さんの歩いた山道」
「おかあさんは今、山登りに夢中」
「静岡の力石」
週刊金曜日ルポルタージュ大賞 
新日本文学賞 浦安文学賞