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「伝吉の石を追う」第3弾

力石・力士の絵
03 /30 2015
再び、伊豆・大島出身の大島伝吉(島田伝吉)のお話です。
と、ちょっとその前に…。

埼玉在住の研究者S氏から、「大嶋直吉」についてのご指摘がありました。
重要なご指摘です。
3月20日掲載の「伝吉の石を追う」に追記として書き込みました。
今一度お読みいただけたら幸いです。

さて、本題に入ります。
前回、大島伝吉銘の力石は、現在9個確認されているとお伝えしました。
そして、
出身地の大島・岡田港の「勇鑑石」と千葉県市川市本行徳・八幡神社の石は、
すでにご紹介しました。

これは江戸名所図会に描かれた「行徳船場」のうちの「行徳八幡宮」です。
img589.jpg
赤丸のところに力石が描かれています。

ここには前回お伝えした「超有名力持ち力士4人」の名が入った石のほかに、
もう一つ、伝吉が持った石があります。

これです。
本行徳・伝吉石3

「五十八メ目 傳吉」

ここで、静岡県伊東市にある「大傳石」を除き、あとの力石を一挙公開します。

「連城石」
CIMG0711 (2)
 =東京都世田谷区北烏山・幸龍寺

「連城石 矢向弥五郎 豆州大島 傳吉持之  
世話人 □鬼熊 代地芳次郎 本町東助


「萬代石」ほか
img580.jpg
 =神奈川県三浦市三崎・海南神社

(右端の石) 88×48×37㌢
「萬代石 豆州大島岡田港 嶋田傳吉持之 □□□□□
(真ん中の石)
「豆州大島岡田港 □□□□□ 嶋田傳吉持之」

「昇龍石」と「扶桑石」
CIMG0759 (3)
 =東京都江東区南砂・富賀岡八幡宮

「昇龍 toshimaya_logo (2)店鬼熊 豆州大島 傳吉持之
世話人 扇橋 金兵衛 同音吉 四ツ目吉五郎 四十町力蔵 本町東助

「扶桑石 大嶋傳吉 
世話人 本町東助 小合己之助 玉山厚書 印


「扶桑石」に刻字された大嶋傳吉の銘です。
CIMG0750 (3)

さて、ここで、
「江戸名所図会」に出てくる「力石の絵」についてお話していきます。

今までにも何度か江戸名所図会に描き込まれた「力石」をご紹介してまいりました。
江戸名所図会に力石が描かれていることを発見したのは、
師匠の高島愼助教授です。
でも、ある日、ふと思ったんですね。
力石のようだけど、確証はない、と。
そこで調べました。徹底的に。名所図会の絵、すべてを

虫めがね片手に隅から隅まで。教授が見落とした絵も何点か新発見。
で、とうとう見つけました。力石を持ち上げている絵を…。

これです。
img588 (2)img588.jpg
「日暮里総図」(ひぐらしのさとそうず)其の四

近くに「船つなぎ松」と「こんぴら」「観音」、
下方に「青雲寺」の名が見えます。

赤丸の所を拡大するとこんな感じです。
img588 (3)img588 (4)
石が4つあります。男が抱え上げております。あとの二人もやる気満々です。
二本差しのお侍が両手をあげて「すご~い!」と驚いています。

まぎれもなく、力石を使って力比べをしている状景です。

これが力石であるという資料も見つかりました。

大和郡山藩の2代藩主・柳沢信鴻(のぶとき)の日記「宴遊日記」の、
安永7年(1778)2月25日にありました。

柳沢信鴻は安永2年、家督を嗣子に譲り、
50歳にして江戸駒込染井の別邸(現・六義園)に隠居。
芝居三昧の日々を過ごします。

安永7年のこの日、中野で筆立てを買い水茶屋で休んだりしたその帰路、
日暮里(新堀・ひぐらしのさと)へさしかかったところ、

「彼岸明けゆへ辻々賑也。
力石七ツ計有。八十八歳にて未年持ち由彫付けし石有り」

このとき柳沢信鴻は7個の力石を見ています。
そのうちの一つに、「88歳で担いだ」という刻字があるのを見つけています。
でも担いだ人の名は記されてはおりません。
またこういう刻字のある石は、現在所在不明です。

残念ですが、でも大きな収穫になりました。

「江戸名所図会」上・中・下巻、すべてのさし絵742点を覗き終えて、
虫めがめをはずして、しょぼつく目で窓を見ると、
すでに白々と夜が明けておりました。

前日の宵から座りっぱなし。体中がギシギシときしんで…。
でも、すぐに喜びと満足感で、体ははちきれんばかりになりました。

狂気の沙汰、お笑いください。

<つづく>

※参考文献・画像提供
/「神奈川の力石」高島愼助 岩田書院 2004
/「江戸名所図会」下巻 斎藤幸雄・幸孝・幸成、長谷川雪旦
校註者鈴木棠三・朝倉治彦 角川書店 昭和55年
※参考文献/「日本庶民文化史料集成」第13巻・芸能記録(二)
編者・芸能史研究会 三一書房 1977
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雨宮清子(ちから姫)

昔の若者たちが力くらべに使った「力石(ちからいし)」の歴史・民俗調査をしています。この消えゆく文化遺産のことをぜひ、知ってください。

ーーー主な著作と入選歴

「東海道ぶらぶら旅日記ー静岡二十二宿」「お母さんの歩いた山道」
「おかあさんは今、山登りに夢中」
「静岡の力石」
週刊金曜日ルポルタージュ大賞 
新日本文学賞 浦安文学賞