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崩野、楢尾、諸子沢

古典芸能
06 /16 2014
崩野(くずれの)は静岡市を流れる藁科川(わらしながわ)の支流、
崩野川右岸斜面にある集落です。
かつては大井川上流の集落と静岡市を結ぶ中継地として、
大勢の持ち子(荷物持ち)や商人たちが行き交ったところです。

崩野の白髭神社です。

CIMG1329.jpg

近くに八草(やくさ)というところがありますが、今は廃村です。
ここに智者山神社の別当・高橋氏という神職がいました。この人は、井川金山
の番所の役人でもありました。そして神楽に非常に熱心な人でもありました。
当時の神職たちは、伊勢から伝わった神楽に独自の創作を加えて、
それを村の若者たちに教えていたんです。

南アルプスを背後に持つ大井川左岸、安倍川、藁科川の人たちは面を担いで
険しい峠越えをして神楽の交流を深めていたのです。ですからこうした峠道は
生活道路でもあり「神楽みち」でもあったわけです。


この白髭神社でも神楽は盛んでしたが、
集落の人口が減り笛を吹く人がいなくなり舞う人も足りなくなったため、
今はテープで音を流し数人の男女で舞って、
細々と続けている状態だそうです。


CIMG1332.jpg

崩野の宝光寺跡から見た楢尾(ならお)集落です。
赤い丸のところが、かつての分校です。

CIMG1325 (2)

30数年前、私は智者山から崩野へ下り、対岸の「楢尾分校」を見ました。
その頃は山々に元気な子供の声がこだましていました。
ですが、崩野の子供たちが谷を越え山を登って通っていたこの分校、
平成5年に閉校してしまいます


CIMG1333.jpg

ハプニングがありました。
次の「諸子沢(もろこざわ)」へ行く途中、足止めを食らいました。
沢に落ちたトラックを引き上げるためです。幸いトラックは木にひっかかり、
運転手は軽傷。しかし作業ははかどらず、1時間30分も足止め。

作業員は3人ともブラジル人。こんな山の中でも渋滞です。
作業終了後、リーダー格が帽子を取って「アイム ソーリ」。
みんなに笑顔が戻りました。

お茶です。

CIMG1343.jpg

黄金色のお茶、「黄金みどり」です。
始めは水出しでいただきます。
香り高く、まろみと旨みがあります。

20年前、一本の茶樹から突然変異した珍しいお茶です。
ここ諸子沢の茶農家の青年が発見したもので、

「ふじのくに山のお茶100選」入賞茶でもあります。
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コメント

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大川地区の感想

積極的な行動力・冷静な洞察力に感服しました。
旧大川村についても少し投稿させていただきます。
1.諸子沢の佐藤さんの黄金色の茶園は実物を観賞したいです。
2.崩野は白沢さんが逝去されて神楽の条件は厳しくなったと思います。
3.楢尾小に続いて宝光寺の上村住職の姿を見ることが出来なくなったことは寂しいかぎりです。
4.諸子沢の白髭神社でも小林さんを中心に2月と10月に神楽が奉納されます。
5.栃沢の内野さんも美味しいお茶作りに奮闘しています。
益々のご活躍を期待いたします!

No title

お祭り大好き様
コメントありがとうございます。

諸子沢の「黄金みどり」は、見事でした。
一般には知られていないようですね。山村の方々が元気だと嬉しいです。

雨宮清子(ちから姫)

昔の若者たちが力くらべに使った「力石(ちからいし)」の歴史・民俗調査をしています。この消えゆく文化遺産のことをぜひ、知ってください。

ーーー主な著作と入選歴

「東海道ぶらぶら旅日記ー静岡二十二宿」「お母さんの歩いた山道」
「おかあさんは今、山登りに夢中」
「静岡の力石」
週刊金曜日ルポルタージュ大賞 
新日本文学賞 浦安文学賞