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いつの間にか「傘寿」⑬

いつの間にか傘寿1
10 /20 2023
高校生になったら、すぐ上の兄も東京へ出て、
ここは父と母と私だけの家になった。

3人だけになったら母は優しくなり、父はますます寡黙になった。

今まで兄や姉たちがいた2階の部屋全部が私のものになった。

日曜日には1階の屋根に布団を干して寝転んだ。
私の上にあるのは空。動くものは流れる雲だけ。


恥ずかしながら、当時作ったポエムをご披露します。

DSC00069.jpg

あの雲に乗っかって

あの雲に乗っかって どこか遠くへ行きたい
どんなに気持ちがいいんだろう

はてしない空に浮かんで水色に染まって
突風を体で受け止めて
そうだ、雲の上で大きく背伸びをしよう
ああ、どんなに気持ちがいいんだろう


独り占めした空の中で
私は大声で泣き、大声で歌い出す
一人になった喜びと 一人になったさびしさを
両手にいっぱい抱えながら

     ーーーーー

屋根の上の私を見つけて、猫がやってきた。
一匹、二匹、三匹。

茶とら、ぶちねこ、からすねこ。

      ーーーーー

転居先で。家が出来るまで仮住まいした借家で。
二男が庭に出ると、どこからともなく大きな猫が現れて、
毎日、こうして寄り添い、二男がゴニョゴニョ言うのを目を細めて聞いていた。
img20231012_20091420.jpg

ねるねこ

ねこ ねこ ねる ねこ
ねんねこ ねこ ねる

横向いてスースー
両足伸ばしてフーッ


ひげピク
耳ピク
しっぽピク
いい夢見たのかな

ねこ ねこ ねる ねこ
ねんねこ ねこ ねる


チョンと鼻つついたら
丸くちぢんで ギュッと顔隠した

ねこ ねこ ねる ねこ
ねんねこ ねこ  ねる

どうにも眠くてたまらない
フーッ


    ーーーーー

田舎の猫は自由気ままだったけど、
後に暮らした新興住宅地の猫は大変でした。

     ーーーーー


猫嫌いの自治会長とお仲間がアジの干物をぶら下げたオトリカゴを仕掛け、
毎晩、住宅地を巡回して猫狩りをして歩いた。捕獲した猫をどうしたのか
追及されて答えられず、愛護団体から動物虐待で摘発され、
市からオトリカゴの返還を命じられた。

我が家へ来た捨て猫さん。無言で窓の外に佇んでいた。
化膿した前足をぶらぶらさせた猫も来た。薬を塗り、一晩、段ボールに。
img20231012_20073622.jpg img20231012_20073624.jpg

ねこはともだち

家の向かいのおくさんは
ねこを見張るのが仕事です
ねこよけのペットボトルに
水を入れ換えるのが生きがいなのです

家の隣りのおくさんは
ねこの通り道を見つけるのが仕事です
見つけた道に、
ガラスの破片を撒くのが生きがいです

はす向かいのおくさんは
ねこのフン探しが仕事です
どこにも落ちていないときは
しそうなねこがやってくるまで待ってます

みんなそれが生きがいなのです
ねこのおかげで楽しんでいるのです

ごはんを食べて布団を干して
テレビと電話と立ち話
子供の世話とときどき房事
次の日もまた繰り返し…
単調な日々の慰みに
どこの家のおくさんも肉食獣に変身し
小さな獲物を待ってます
ペットボトルの水を換え
道にガラスの破片を撒き
大事な庭に目を凝らす

ある日
夫たちが提案した
向かいの夫はこう言った
「アジの干物をぶら下げたオトリカゴを置いたらどうだい」
隣りの夫はこう言った
「トラバサミを仕掛けよう」
自信ありげに言ったのは
はす向かいの家の夫
「毒ダンゴならイチコロさ」

ところがおくさんたちは腹を立て
「とんでもない!」と首振った

向かいも隣りもはす向かいも
この世にねこがいなければみんな生きがいを失くすのです

おくさんたちとねこたちは
とても不思議な関係です

     ーーーーー

片手に乗るほどの捨て猫を息子が拾ってきた。
私の最後の飼い猫。エサの袋から顔が抜けなくなって七転八倒。
あずき

一人になった15の春。

赤いトタン屋根の上の私と猫たちは、
頭上に広がる空に溶け込んで、いつまでもまどろんでおりました。

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コメント

非公開コメント

No title

ネコを巡るポエムとエピソード、人それぞれの感情は多彩ですね。
体格のそう違わない二男さんとネコのツーショット、いいですねぇ。
自然に微笑んでしまいました。

夏目さんへ

ご指摘の写真、私のお気に入りの一枚です。二男が一歳半ごろです。
この猫、飼い猫のようでしたが、毎朝、窓の外で二男が出てくるのを待っていたんです。ある日、私だけが出てきて洗濯物を干していたら、いきなり足をガブリ。「痛い!」と叫んで振り向いたら、悪びれる様子もなく「なによ!」という目つきで睨まれました。

たぶん、かつて幼い子供のそばで暮らしたことがある猫ではないでしょうか。
とにかく片時も離れず、二男が「あのね」と呼びかけると目を細めて聞いていました。私が二男の名前を呼ぶと一緒に振り向きました。本当に不思議な猫でした。

雨宮清子(ちから姫)

昔の若者たちが力くらべに使った「力石(ちからいし)」の歴史・民俗調査をしています。この消えゆく文化遺産のことをぜひ、知ってください。

ーーー主な著作と入選歴

「東海道ぶらぶら旅日記ー静岡二十二宿」「お母さんの歩いた山道」
「おかあさんは今、山登りに夢中」
「静岡の力石」
週刊金曜日ルポルタージュ大賞 
新日本文学賞 浦安文学賞