西王母
盃状穴③
「盃状穴」からとんだ方向へ行きましたが、
大丈夫! 最後はちゃんと戻ります。
天の川のアメノタナバタ姫、アマテラスに続く3人目の機織りの姫は、
中国の最高仙女「西王母(せいおうぼ・さいおうぼ)」です。
紀元前1600年ごろの中国・殷の時代の甲骨文字に、その名があるとか。
アマテラスさんはこの女神をモデルにしたそうですから、
「岩穴に籠って再生復活」とか、「人間界の秩序を担っている」、
「男女二要素を持っている」「機織り」などの共通性があります。
西王母の一番の特徴は、「勝」という髪飾り。
原初の「人頭獣身」のころのザンバラ髪にも、「勝」をつけていたとか。
「勝」には「金勝」「玉勝」「華勝」「織勝」などの呼び名があるという。
写真は、円の両側に台形状のヒレをつけた「勝」。(中国・漢代)。
「ヒレ」=天女が肩に掛けている長い布。これを人を招いたり別れるとき振る。
神話にスサノオがヒレを振って蛇を退けた話が出てきます。

「西王母と七夕伝承」よりお借りしました。
この「勝」をつけているのは西王母だけなので、
他の女神との識別になるそうです。
で、この「勝」って何なんだというと、機織り機の部品で、
織り機の経(縦糸)を巻き付ける「軸」のことだそうです。

同上
「西王母と七夕伝承」の著者・小南一郎氏によると、
「機を織るという行動は、世界の秩序を織り出すという重要な行為で、
一人で再生を繰り返す円環的な時間=永遠の循環の中にいる神と、
織り機の軸の回転とを重ね合わせて、
この「勝」を象徴的に利用したものと推測される」
「もし勝が折れたりして、天上の機織りに支障が出ると、
宇宙の秩序を失って混乱に陥る
と考えられていた」
ということは、
戦争や天災って、天上の機織り機の「勝」が折れちゃったってことか。
ということは、
ロ・ウの戦争も天上の機織り機の軸が壊れちゃったからなんだ。
まだ戦火止まずってことは、
G7に集まった偉い方々の誰も、軸の直し方を知らなかったってことか。

そんなわけでこの仙女さん、桑摘みや養蚕にも深く関わっていたため、
中国の皇太后などが儀式として養蚕を行っていたという。
そういえば日本の皇室でも皇后さんが、
蚕に桑の葉を与える「御給桑」や「繭搔き」をされていますね。
あれは単なる蚕の世話なんかではなくて、
こうした神話の世界からの深いつながりがあってのことだったんですね。
宇宙の秩序、日本国の秩序を司っているのは、
実は皇后さんであったともいえそうで、私はちょっと嬉しくなりました。
天皇ご一家に幸あれ!
実は私、このご一家、大好きなんです。
品格、知性、優しさ、あたたかさ、すべてが自然体でホッとします。

「西王母と七夕伝承」よりお借りしました。
機織りなんてただ布を織るだけのものと思っていましたが、
「宇宙の秩序を織り出す」
そういう思想があったとは。
で、その西王母のお住まいはどこかというと崑崙山(こんろんさん)で、
そこに生えている世界樹のテッペンに、「勝」の髪飾りをつけた西王母が
いつも座っているそうです。
そして、そのまた上には北斗七星があるというのです。
この山は天地のヘソで、天上、地上、地下の三つの世界を貫いていて、
その中心軸においてのみ、この三つの世界を行き来できた。
そしてこの中心軸を行き来していたのは「気」なんだそうです。
私、ふと思ったんです。
この「気」、現代人も日常的に使ってるよなって。
「天気」なんてのもそう。
当たり前みたいに使っているけれど、これ「天」の「気」なんですよね。
「天気予報」なんてのは、
天の気のご機嫌を予測してみなさんにお知らせしているんですから。
で、長い年月の間には「勝」の形も変わり、神仙思想などの影響で、
西王母に人間に不死の生命を与える役目も加わります。
月の中のうさぎですが、私はずっと「餅をついている」と思ってきましたが、
あれは不老不死の仙薬を突いているところだとか。
中央に「勝」をつけた西王母。右でうさぎが不老不死の仙薬を突いている。

同上
こうして、
長い間、世界の中心に君臨していた最高位の女神・西王母でしたが、
のちに両性具有から男性的な要素が分かれて、
「東王父」「西王母」となり、
「東王父」に権力が移って弱体化していったそうです。
「西王母」(中央)と「東王父(公)」(左)

同上
天の川と西王母の伝承はいろいろありますが、ここでは、
「牽牛と織女は、西王母が統一する男女二要素」とだけ、記しておきます。
※参考文献
「西王母と七夕伝承」小南一郎 平凡社 1991
「勝についての一考察、「勝」と昇仙思想の関係について」八木春生
成城大学 論集9 1992

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大丈夫! 最後はちゃんと戻ります。
天の川のアメノタナバタ姫、アマテラスに続く3人目の機織りの姫は、
中国の最高仙女「西王母(せいおうぼ・さいおうぼ)」です。
紀元前1600年ごろの中国・殷の時代の甲骨文字に、その名があるとか。
アマテラスさんはこの女神をモデルにしたそうですから、
「岩穴に籠って再生復活」とか、「人間界の秩序を担っている」、
「男女二要素を持っている」「機織り」などの共通性があります。
西王母の一番の特徴は、「勝」という髪飾り。
原初の「人頭獣身」のころのザンバラ髪にも、「勝」をつけていたとか。
「勝」には「金勝」「玉勝」「華勝」「織勝」などの呼び名があるという。
写真は、円の両側に台形状のヒレをつけた「勝」。(中国・漢代)。
「ヒレ」=天女が肩に掛けている長い布。これを人を招いたり別れるとき振る。
神話にスサノオがヒレを振って蛇を退けた話が出てきます。

「西王母と七夕伝承」よりお借りしました。
この「勝」をつけているのは西王母だけなので、
他の女神との識別になるそうです。
で、この「勝」って何なんだというと、機織り機の部品で、
織り機の経(縦糸)を巻き付ける「軸」のことだそうです。

同上
「西王母と七夕伝承」の著者・小南一郎氏によると、
「機を織るという行動は、世界の秩序を織り出すという重要な行為で、
一人で再生を繰り返す円環的な時間=永遠の循環の中にいる神と、
織り機の軸の回転とを重ね合わせて、
この「勝」を象徴的に利用したものと推測される」
「もし勝が折れたりして、天上の機織りに支障が出ると、
宇宙の秩序を失って混乱に陥る
と考えられていた」
ということは、
戦争や天災って、天上の機織り機の「勝」が折れちゃったってことか。
ということは、
ロ・ウの戦争も天上の機織り機の軸が壊れちゃったからなんだ。
まだ戦火止まずってことは、
G7に集まった偉い方々の誰も、軸の直し方を知らなかったってことか。

そんなわけでこの仙女さん、桑摘みや養蚕にも深く関わっていたため、
中国の皇太后などが儀式として養蚕を行っていたという。
そういえば日本の皇室でも皇后さんが、
蚕に桑の葉を与える「御給桑」や「繭搔き」をされていますね。
あれは単なる蚕の世話なんかではなくて、
こうした神話の世界からの深いつながりがあってのことだったんですね。
宇宙の秩序、日本国の秩序を司っているのは、
実は皇后さんであったともいえそうで、私はちょっと嬉しくなりました。
天皇ご一家に幸あれ!
実は私、このご一家、大好きなんです。
品格、知性、優しさ、あたたかさ、すべてが自然体でホッとします。

「西王母と七夕伝承」よりお借りしました。
機織りなんてただ布を織るだけのものと思っていましたが、
「宇宙の秩序を織り出す」
そういう思想があったとは。
で、その西王母のお住まいはどこかというと崑崙山(こんろんさん)で、
そこに生えている世界樹のテッペンに、「勝」の髪飾りをつけた西王母が
いつも座っているそうです。
そして、そのまた上には北斗七星があるというのです。
この山は天地のヘソで、天上、地上、地下の三つの世界を貫いていて、
その中心軸においてのみ、この三つの世界を行き来できた。
そしてこの中心軸を行き来していたのは「気」なんだそうです。
私、ふと思ったんです。
この「気」、現代人も日常的に使ってるよなって。
「天気」なんてのもそう。
当たり前みたいに使っているけれど、これ「天」の「気」なんですよね。
「天気予報」なんてのは、
天の気のご機嫌を予測してみなさんにお知らせしているんですから。
で、長い年月の間には「勝」の形も変わり、神仙思想などの影響で、
西王母に人間に不死の生命を与える役目も加わります。
月の中のうさぎですが、私はずっと「餅をついている」と思ってきましたが、
あれは不老不死の仙薬を突いているところだとか。
中央に「勝」をつけた西王母。右でうさぎが不老不死の仙薬を突いている。

同上
こうして、
長い間、世界の中心に君臨していた最高位の女神・西王母でしたが、
のちに両性具有から男性的な要素が分かれて、
「東王父」「西王母」となり、
「東王父」に権力が移って弱体化していったそうです。
「西王母」(中央)と「東王父(公)」(左)

同上
天の川と西王母の伝承はいろいろありますが、ここでは、
「牽牛と織女は、西王母が統一する男女二要素」とだけ、記しておきます。
※参考文献
「西王母と七夕伝承」小南一郎 平凡社 1991
「勝についての一考察、「勝」と昇仙思想の関係について」八木春生
成城大学 論集9 1992

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コメント
宇宙の秩序を織り出す
2023-06-14 19:51 BUSYBEE-GAEI URL 編集
BUSYBEE-GAEIさんへ
みんな人様の本からの受け売りですが、いろんな考え方があって本当に面白いです。で、どの方のも一理あって、「そうだったのか!」と興奮するのですが、今、「日本の風水」という比較民俗学の先生の本を読み始めたら、とたんに迷路に。「みなさんは日本の風水論は中国のを受け継いで誕生したと説くが、それは違う」「日本にはまず「気」という思想が存在しない」というので、びっくり。で、読み始めたものの言わんとすることがつかみにくくて、四苦八苦しております。
写真借用の件、ありがとうございました。
2023-06-14 20:29 雨宮清子(ちから姫) URL 編集