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ポエム2編① …76

田畑修一郎3
11 /18 2022
子供のころは枕元に、ノートと鉛筆を置いて寝た。

うす暗い天井を見上げていると、
言葉が溢れて書き留めずにはいられなかった。

浮かぶのは暗いことばかり。
自分には楽しい「歌」は歌えないのだなと子供心に思った。

大人になっても同じだった。
孤独の中で、こんなポエムを書いた。

   ーーーーー◇ーーーーー

皮を編む

夫が皮を脱ぎ捨てた
臭いの浸みた醜悪な皮だ
わたしはその皮をほどきにかかる
糸を引き抜くたびに埃が舞い立つ
ああ、いやだ 背信の臭い
それでもわたしは糸を抜く


昔、大切な人に贈るために わたしは皮を編んだ
それはまばゆいばかりの真っ直ぐな糸だった
細やかな産毛がふんわりとそよぎ
わたしは思いのたけを込めて編んだ


それも年を経れば着古され
込めたはずの思いは恥辱にまみれた
裏を返せばそこここに背信の数々
わたしの知らない夫の世界が 生々しく姿を見せていた
そうした現実を突き崩すように
わたしは糸を引く
舞い立つ埃を吸うまいとして わたしは息を止める

夫に新しい皮を着せなければならないので
わたしはまた 皮を編む
もはやまばゆさも消え よれよれと曲がりくねった糸で
好きな人のために編むという面映ゆい感情もないまま
悲しみと侘しさと諦めと
そして化石と化したわたしの心を砕きほぐして
編みこんでいく


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雨宮清子(ちから姫)

昔の若者たちが力くらべに使った「力石(ちからいし)」の歴史・民俗調査をしています。この消えゆく文化遺産のことをぜひ、知ってください。

ーーー主な著作と入選歴

「東海道ぶらぶら旅日記ー静岡二十二宿」「お母さんの歩いた山道」
「おかあさんは今、山登りに夢中」
「静岡の力石」
週刊金曜日ルポルタージュ大賞 
新日本文学賞 浦安文学賞