fc2ブログ

「俺はリニアには乗らない」①

世間ばなし③
08 /27 2023
リニアについて、「硬い、長ったらしい」記事になります。
全くの素人の私が取り上げるテーマではないと重々承知していますが、
当事県の県民の一人として思い切って書いてみました。

舌足らず、知識不足のことも多々ありますが、ご理解ください。

       ーーーーーーーー

リニアは静岡市の最奥部、3000m峰が連なる南アルプスの地下を通る。
だから、静岡県人には何のメリットもない。

メリットはないのに、デメリットだけはたくさんある。
水源の破壊、残土、動植物への影響、大井川の水の減少・汚染、
どれも影響が大きい。


南アルプス塩見岳への初日。このころは疲れ知らずでよく歩いた。43歳。
この4か月後、ガンで2度手術。一か月の入院。
img20230821_09384237.jpg

もう一つの問題はJR東海の静岡県冷遇。いわゆる「静岡県飛ばし」だ。
これは石川嘉延・前静岡県知事時代からそうだった。

石川知事時代、JR東海に要求した案件はことごとく拒否された。


「新幹線ひかりの静岡駅への停車の増加」
「可能な限り、静岡駅もしくは県内1駅にのぞみを停車していただきたい」
「静岡空港予定地の地下に新幹線が通っているから、そこに新駅の設置を」


しかしJR東海はことごとくはねつけた上、追い打ちをかけるように、
ひかりとこだまの特急料金をのぞみと統一するとした。

これはのぞみが止まらない静岡県民の負担増となった。
  
JR東海のあまりの傲慢さ、静岡県軽視に当事の石川知事は怒り、
「県内を素通りするなら、のぞみ通行税を徴収する」と、突きつけた。


「地下に新駅を」の要望に対してJR東海は「技術的に無理」と言ってきたが、
リニアのため、山岳地帯の1400mの地下を掘る難工事をする技術はある。
おおいなる矛盾ではないか。


さて、JR東海はそうした非礼を次の現・川勝知事へも容赦なく浴びせた。

2018年、県庁でリニアの工事による環境問題を盛んに議論していたころ、
新社長になった金子氏
(現・会長)は、県庁へは出向かず、
わざわざ、すぐ向かいの市庁舎に静岡市長を訪れたという。

そこで、市長との間で「リニア建設への協力の合意書」を結んだそうで、
姑息というか、なんともいやらしい。

この金子氏が知事を訪問したのは、社長就任の2年後というのだから、
これほど人をバカにした話はないではないか。

これではリニアがうまくいくはずがない。

だって「工事をさせてください」と頼む方が、高圧的なんだから。


明日登る塩見岳を背景に。テント泊。女二人だけの気楽な山旅です。
彼女は聴覚障がい者だが、読唇術で全く会話に支障はなかった。
塩見3

川勝知事は「リニア賛成」を早くから表明していたが、
JR東海の非礼さや環境問題や大井川の水などの問題山積で、
昨今、いささかお疲れ気味。

さらに追い打ちをかけたのが、
全国規模で、ワラワラと湧き出てきたバッシングの嵐。
ちまたで囁かれている「川勝いじめ」だ。

「真っ赤な嘘をつく知事」「川勝は中国のスパイだ」
「国策に従わない知事は国賊だから、排除する法律を作って追い出せ」
などと言いたい放題。

県民の一人として、黙って聞き流すわけにはいきません。


特に「国策」「国賊」なんていう戦前の悪しき脅し文句を、
令和の今、再び発する人がいるなんて信じられないし、おぞましすぎる。

これではどんなにメンタルが強い人でも心身がおかしくなってしまいます。

昨年まで副知事(現・静岡市長)としてリニア問題に取り組み、
工学の専門家としてJR東海に対して、毅然とした対応をしていた難波氏に、
5通もの脅迫状が届いたという。


ネットの言葉や風評を真に受けて脅す。
大物一人をターゲットにして、集中砲火を浴びせて潰しにかかる。
匿名だから誹謗中傷は際限がない。県内か県外の人かさえわからない。
その人数さえ不確かだ。


翌朝、薄明の中を登頂開始。♪なんだ坂、こんな坂、とはいえ、チト手強い。
塩見薄明の中を

私は知事を応援しています。ただし、私は「リニアいらない派」

なぜいらないのかを、
山本義隆氏の
「リニア中央新幹線をめぐって」に依拠し、述べていきます。

「リニア…」の中から抜粋します。

JR東日本の元・会長の松田昌士氏の談話
=「日経ビジネス」2018・8・20=
として、こんな記述があった。

「リニアは高価なヘリウムを使い、大量の電力を消費する。
トンネルを時速500㎞で飛ばすと、ボルト一つはずれても大惨事になる。

俺はリニアには乗らない。

だって、地下の深いところだから、死骸も出ねぇわな」

 =地元で「モグラ列車」「棺桶新幹線」と揶揄されている理由がこれ。

南アルプスのトンネルが通るのは最深度・地下1400m。長さ25㎞。
残土は静岡工区で370万立法メートル。沿線7都県で約5680万立方メートル。

こんな途方もない残土を南アの谷や源流部に捨てるそうだけど、
人ンちの山のドテッパラに穴を開けて、出た土を人ンちの水源地に捨てるって、
自分勝手もいいとこだって、私は思うんですよね。

それに自然界への畏怖っていう感覚が全然ないんだもの。

やっきりしちゃうよ、まったく。

静岡県の最大の心配事は水。
反知事派は知事を「水でゴネているおかしな人」というが、
この水は大井川・中下流域の住民62万人の「命の水」ですから、
そりゃあ、真剣になりますよ。これについては次回。


img20230823_19594881.jpg

水とともに心配なのが、残土に含まれる有害物質だ。
岐阜県には放射性物質のウラン鉱床があり、
令和4年にリニア工事の残土から、ヒ素およびフッ素が検出されたという。

静岡県HPによると、
「トンネル内から出た残土のうち、自然由来の重金属などを含む残土を
JR東海では水源地の大井川河畔藤島付近に永久存置するという。
二重の遮水シートを被せるというが、シートの寿命など明らかにしていない。
流失すれば、川への汚染は避けられない。県では懸念している」
とのこと。

古くは足尾銅山鉱毒事件や神岡鉱山のイタイイタイ病があり、
直近では、北海道で掘削していた穴からヒ素が噴き上り、
住民がヒ素中毒になるという事故があったばかり。

鉱毒などは、
ジワジワと田畑や山林や人体に浸透していくからやっかいだ。

重金属残土だけではない。あとの残土360万立法メートルは、
日本一崩れやすい「千枚崩れ」の下流・燕沢などに永久残置するというのだ。
この土砂が崩壊すれば、堰き止められた水で大規模な災害が発生する。

高山の崩壊地や水源地に多量の残土を置き、
遮水シートを被せて永久存置って、
バカも休み休み言えと言いたい。


下記の「急がば回れぢゃ」さんのブログ記事をぜひ、見てください。
残土置き場とされている地形など詳しく書かれています。

=地形については8月4日の記事に詳しい。
実名で知事攻撃を繰り返している
二人のジャーナリストも取り上げています。

「リニア中央新幹線
南アルプスに穴を開けちゃっていいのかい」

「8月4日」「8月13日」の記事も、ぜひ。

人が手つかずの自然に手を突っ込んだことによって、
未知のウイルスが出現したが、それと似ているような気がします。



塩見岳から北荒川岳へ向かう途中の北俣岳分岐から蝙蝠岳へ。
ほとんどの登山者が素通り。稜線上は二人だけの天下。
紺碧の空の中を上機嫌で歩いた。
塩見1

さて、知事の一番大きな狙いは、私の憶測ですが、
静岡空港地下か付近に新幹線新駅を作ること。
その駒が「南アのトンネルの水問題」ではないだろうか。


新幹線新駅は前知事からの願いであり、
静岡県経済界からの熱望でもあると思います。

だってリニアが出来てそちらが主流になれば、
流れが東京ー名古屋ー大阪となって、静岡県は完全にスルーですから。
新道ができると人や物資の流れが変わり、集落が衰退するのと同じ原理です。


そこで、勝手な想像ですが、両者のもくろみはこうではないか、と。

知事は「新幹線新駅を作るなら、トンネル工事は許可する。
    ただし水問題は流域住民の納得のいく形で」
JR東海は「許可しようがしまいが工事は続行するし、新駅を作る気もない」


こう見てくると「国策事業」を錦の御旗に立てて、
デメリットだけを押し付けてくるJR東海の方がゴネていると思いたくなります。


無事、縦走を終えて「両俣小屋」の女性小屋番さんと。
塩見岳北俣岳蝙蝠岳ピストン~北荒川岳新蛇抜山安倍荒倉岳熊ノ平小屋三峯岳両俣小屋北沢橋まで3時間~広河原まで2時間。歩きまくった。

靴を脱いだら、ふやけた足の先で爪が2本黒くなって死んでいた。
img20230823_08462209.jpg

忘れてならないのは、
JR東海は今は国鉄ではなく民間企業。
営利企業は利益第一が命ですから時には冷酷です。

そういう私企業に対して県政の長として、
知事が県民の利益優先のため駆け引きをするのは当たり前のこと、
というのは、どなたも異論はないと思います。

で、不思議だなぁと思うのは、
県議会議員の10数人が、知事の言葉尻を捉えてネット民の如く貶めたり、
知事不信任案まで出したりする、私にはそのことが理解できないのです。

県民の豊かな暮らしと経済の活性を願うはずの県議員たちが、
静岡の山河を壊し静岡の経済に何のメリットももたらさない、
と私には思えるリニア建設なのに、なぜ、相手のJR東海に加担するのか。

「静岡県飛ばし」という衰退への道を、なぜ選ぶのか。

こうした議員たちと圧倒的な知事支持の県民との乖離が、
この問題をより煩雑にしているように思えて仕方がありません。


※参考文献
「リニア中央新幹線をめぐって」原発事故とコロナ・パンデミックから見直す
山本義隆 みすず書房 2021

にほんブログ村 歴史ブログ 日本の伝統・文化へ
にほんブログ村
スポンサーサイト



雨宮清子(ちから姫)

昔の若者たちが力くらべに使った「力石(ちからいし)」の歴史・民俗調査をしています。この消えゆく文化遺産のことをぜひ、知ってください。

ーーー主な著作と入選歴

「東海道ぶらぶら旅日記ー静岡二十二宿」「お母さんの歩いた山道」
「おかあさんは今、山登りに夢中」
「静岡の力石」
週刊金曜日ルポルタージュ大賞 
新日本文学賞 浦安文学賞