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弥五郎のおまけ

古文書や石碑では、しばしば判読不能な文字に出くわします。

昔の人が書いたのだからとか、偉い学者のお説だからと鵜呑みにして、
何とか理解しようとするものの、結局、解決できず。

神明神社の弥五郎石にも、そんな「珍字」がありました。

これです。

img20200417_22383871 (2)
千葉県野田市上花輪・神明神社

もうおわかりかと思いますが、「矢向」の「矢」の部分です。
「失」になっちゃってます。

これは「失礼しました」というわけで、まあ、この程度はお愛嬌。

img20200417_22383871 (3)

で、何を言いたいかというと、こういう事例に出くわしたら、
権威などにとらわれず、想像力を働かせてね!

ということなんです。

また、力石をアップしてくださる「へいへいさん」も「とりけらさん」も、
石の刻字(切付け)が読めなくて、四苦八苦した経験があるかと思います。

そんなときは石に水をかけると文字が浮き上がってきます。
雨の日にはっきり見えるでしょう。それと同じ。

これ、斎藤氏の直伝。

もう一つ、お見せします。
重箱の隅をつつくみたいで心苦しいですが、
間違いは間違いなので…。

千葉県「印西町の歴史」の調査資料「仙助河岸」を読んでいたら、
「あれ?」という個所がでてきました。

資料そのものは、
河岸に残る船頭たちの足跡を丹念に追った貴重な記録です。

もちろん、船頭たちが奉納した力石も出てきます。

ですが、あきらかに間違った部分がありました。
大阪市の住吉大社にある常夜灯の判読です。

その常夜灯に刻まれていた文字がこちら。
0003785_036 (3)
大阪市住吉区・住吉大社

著者は、
「住吉大社にある常夜灯の中に、
江戸の干鰯問屋たちの奉納したものがある」と書き、
続けて、
大阪の干鰯仲間が奉納した常夜灯を取り上げています。

実際、住吉大社まで出かけたようです。

しかし、
上部3文字のうちの向かって左の文字を「ば」と誤読、
さらに「うつば」と解釈してしまい、こう述べています。

「大阪のうつば干鰯仲間」の「うつば」とは「うつ場」のことで、
「干鰯場」を意味する、と。

これ、
「本」という漢字に点々を打って「ぼ」と読ませている「かなもじ」で、
「うつ」ではなく、「うつ」なんです。

で、「うつぼ」「靭」で、
大阪にあった「一大海産物市場」の地名です。

ちなみに「干鰯」は「ほしか」で、当時の貴重な肥料でした。
ですから、
この常夜灯を奉納したのは、「靭市場の干鰯商人たち」ということになります。

0003785_036 (5)

話変わって、
大阪歴史博物館のHPに、こんな記事が載っていました。

「大阪相撲の藤島部屋は、
靭の干鰯市場と関係が深い「靭部屋」から派生した相撲部屋の一つで、
干鰯市場で働く仲士たちと密接な関係を有していた」

そんな仲士の一人でしょうか。
靭市場の力持ちの石上げが千社札に描かれています。

右下に、「明治維新永代浜力競」とあります。

「永代浜」は荷上げ場で、靭市場の中心地でした。
千社札にも「うつぼ」の文字があります。

赤フンがチラッ。

img290.jpg

ブログ「神奈備にようこそ」に面白い記事が載っていました。

干鰯(ほしか)仲間が常夜灯を奉納したあの住吉大社についてです。

「住吉大社の人形祭りは大阪の夏の風物詩であったが、
人形の材料はすべて塩干魚類で、それに海藻やスルメなどを飾り付けた。

そのため特有な臭気が漂い、
ハエがたくさん集まってもの凄いことになった。
人々は団扇(うちわ)でハエを追いながら練り歩いた」

やだやァ、
ハエと一緒くたァじゃ、「やぶせったくて」しょんないに。

ふんだけんが、
大阪ン衆の「おだっくい」ぶりは、
うちっちら静岡人の上いってるだんて、いみゃーましいやァ。


※参考文献/「印西町の歴史 第六号」千葉県・印西町町史編さん室 平成2年
        /大阪歴史博物館HP「小林佐兵衛興行の寄付大相撲の
         案内書と入場券」平成20年3月5日~4月7日に展示
        /ブログ「神奈備にようこそ」「やすやす靭物語・魚市場編」


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プロフィール

雨宮清子(ちから姫)

Author:雨宮清子(ちから姫)
昔の若者たちのスポーツ「石上げ」に使われた「力石(ちからいし)」の歴史・民俗を調査研究しています。力石のことを少しでも知っていただけたら嬉しいです。

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