「東海力石の会」に、こんな写真が載っていました。ちょっとピンボケですが、
あれま!
左から2番目にいるのは、力石の
高島先生ではないですか。
「こんなところに、またどうして?」

愛知県海部郡飛島村・
大宝神社「大江氏は極真空手(新極真会)の仲間です」と
高島先生。
「高島先生は三重県北支部という道場の責任者をされており、
空手の世界では高島師範です。私とは格が違います」と
大江さん。
先生が空手? 知らなかった!そういえば、
石の調査で走行中、対向車線から突然、車が飛び出してきたことがありました。
その時の先生の動きの俊敏だったこと。
車が飛び出す、
右手でハンドルを切る、
左手で私の胸先にサッと腕を伸ばす。寸止め。
誤解のなきよう…。先生は万一のときの防御をしてくれたのです。
が、ドキドキ。
驚くべきは、この3つの動きが全く同時に進行したことです。
思えば、
あの冷静さ、あの鮮やかな動きは空手で鍛えたものだったんですね。
おかげで命拾いしました。
石の話に移ります。
孤独な挑戦を続けていた大江誉志さんですが、
石担ぎは少しずつ友人たちにも波及し、仲間もできました。

岐阜県各務原市・
八幡神社こちらはSFG認定のケトルベルインストラクター、
伊藤允一さんです。

三重県桑名市海部郡飛島村・
大宝神社「石を担いだ瞬間の伊藤さんは
少年のような顔になっていました」
と大江さん。
このSFGというのは、トレーニング系の中で
最も厳しい資格だそうです。
取得の難しさに加え、一度取れば永久に使えるというわけではないため、
2年ごとに試験を受けて資格を取らなければ継続できない、という厳しさ。
そのため、現在この指導資格を持っている人は大江さん、伊藤さんを含めて、
日本にはまだ10名ほどしかいないそうです。
その
SFGインストラクター・伊藤さんの
本業は、というと、

桑名市大字和泉の㈲
伊藤鉉鋳工所、
三代目の社長さんなんです。
ここは
日本で唯一のケトルベル製造メーカーだそうです。

これ一個あればジムもいらない、自宅で全身運動ができるというケトルベル。
スポーツ界だけでなくリハビリなどの
医療分野や
高齢者の
介護予防、
ダイエットなどに力を発揮。
アメリカではダイエットのほとんどにこれが使われているとか。
あんな鉄の玉、本当に
高齢者でも使えるの?と不安になりますが、
実際にケトルベルを適切な指導の下で使って、
高齢者のひざや腰痛のリハビリによい結果が出ているそうです。
それはケトルベルトレーニングが、表層の筋肉にではなく
インナーマッスル深層筋肉)に働くため、
関節などを柔らかくするからなんだそうです。深いところの筋肉を鍛える大切さをこうもり傘に例えると、
こんなふうになります。

傘には布を支える
親骨があり、
その親骨を受け止める
受け骨があります。
傘の中心に、その親骨と受け骨とシャフトを接合する個所がありますが、
その
ジョイント部分は負荷がかかるため、最も損傷を受けやすい。
だからいくら丈夫な親骨を使っても、
ジョイント部分が壊れたら傘は開きません。
人間の体でいえば、親骨にあたる
表層筋肉ばかりを鍛えても、
受け骨やジョイント部分、つまり
深層筋肉や
関節が故障すれば、
柔軟性を失い、歩くことにも支障をきたします。
だからインナーマッスルを鍛えることは、年齢を問わず大切なんだ、と。
とまあ、屁理屈をこねました。
間違っていたら、大江さん、指摘してくださいね。
それにしても、
力石の研究者・四日市大学の高島愼助教授が、空手師範だったとは。
空手歴約30年。道場の責任者として約20年。
黒帯に金の筋が3本入った参段ー。「黒帯大観」(新極真会 緑健児 2003)に載っている高島先生はまるで別人。
私は凄い方と石の調査をしていたんだと、今さらながらびっくりです。
空手師範という正体を知った私のところに、先生からメールがきました。
「どうだ、まいったか!」
「ハハーッ、まいりましたッ!」「空手の世界では大江氏より位は上でしたが、
空手の強さでは大江氏の方が強いと思います」
その先生、60歳を機に空手を引退。
先生曰く。
「空手は過去のものになりましたが、力石は現役です」がんばってください…。
<つづく>
※参考文献・画像提供/大江誉志facebook「東海力石の会」
「ケトルベルトレーニングブログ」
※画像提供/㈲伊藤鉉鋳工所HP