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60有余年、卯之助を追う

三ノ宮卯之助
06 /01 2015
「今にして思えば、ほかの石もやっておればよかった」

昨年2月、越谷市中央市民会館で行われた講演会場で、
同市在住の高崎 力(つとむ)氏は、
そう言っていたずらっぽく笑った。

この講演会は、
越谷市三野宮出身の力持ち力士、三ノ宮卯之助の力石6個が、
市の有形文化財・歴史資料になったのを記念して行われたもので、
講師は四日市大学の高島愼助教授が務めました。

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高島教授 =埼玉県越谷市・中央市民会館

この日、市の職員が用意してくださった最前列に、
埼玉県在住の研究者、高崎 力氏、酒井 正氏、氏がそろって着席。
どなたとも初対面の私は、高崎氏とS氏に挟まれるようにして座りました。

ここでの高島教授の講演は11年ぶりだそうで、開始を待つ間、三人の間で、
「相変わらず教授はパワフルだなあ」
「この前来た時とちっとも変っていませんねえ」と会話が弾みます。

11年前、酒井 正氏は、
教授の「熱情溢れる話」を聞いたことで、
「この時を境に、私の中へ力石と力持ちたちがずいっと入り込んできた」
とその著作に記しています。

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画/酒井正氏

酒井 正氏は文字のデザイナー。
そして石仏・石造物の研究者でもあります。
その石仏を求めて、埼玉県内を始め遠く岐阜県や長野県まで行脚。
平成22年には、約2000体を写生した石仏の本を出版しました。
酒井氏のことは稿を改めてご紹介します。

そしてこの講演会以来、
私のよき相談相手になっていただいているのがS氏です。
資料の提示やアドバイス、
「謎の大王石」探しには謎解きに協力してくださるなど今では得難い先輩です。

「若い頃から古い歴史のしみ込んだ街を歩くのが好きだった」S氏は、
やがて、赤瀬川原平、南伸坊氏らの
「路上観察学」にのめり込んでいったそうです

S氏の作品「フェイス」
1斎藤路上観察
工場の壁面に取り付けられている換気扇。 
=人のちょっと困った顔のように見えるところからフェイスと命名=

そのS氏の関心が力石に移ったきっかけは、
卯之助の力石が神奈川県江の島で見つかったという新聞記事でした。

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卯之助の石の発見を伝える1998年(平成10年)の読売新聞の記事。

以来S氏は関東一円の力石探索に情熱を傾けるようになり、
数多くの新発見をしていきます。
その地道な調査への評価は高く、
高島教授の最も信頼する協力者として、力石界の一翼を担っています。

S氏のこともまた、稿を改めてご紹介します。

この日披露された卯之助の「大磐石」の拓本
CIMG1088 (2)
113×91×30㎝ 重さ約520㎏

背後でこれを持つ人と比べて見てください。
いかに大きな石かおわかりいただけるかと思います。

三ノ宮卯之助という稀有の力持ちを生んだ埼玉県。
その郷土の偉人を生涯かけて追い続けた人が高崎 力氏(88)です。

この道60有余年。


次回は卯之助研究の第一人者・高崎 力先生のお話です。

<つづく>

※画像提供/「郷土の石佛・写生行脚一期一会」酒井正 平成22年 私家本
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雨宮清子(ちから姫)

昔の若者たちが力くらべに使った「力石(ちからいし)」の歴史・民俗調査をしています。この消えゆく文化遺産のことをぜひ、知ってください。

ーーー主な著作と入選歴

「東海道ぶらぶら旅日記ー静岡二十二宿」「お母さんの歩いた山道」
「おかあさんは今、山登りに夢中」
「静岡の力石」
週刊金曜日ルポルタージュ大賞 
新日本文学賞 浦安文学賞