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後世に伝えていく責務が自分にあると…

力石の保存
07 /31 2014
「大っきいなあ!」
眼前にドーンと広がる富士山。
山頂は天を突き、左右の裾野は優美にどこまでも地平線へ伸びている。

ここは静岡県富士市神戸(ごうど)。
「富士山を神に見立てて、その神の戸口の集落なので神戸というんです」
というのは、長年放置されていた力石を自費で保存したWさん
実直な農家のご主人です。

これが放置されていたときの力石です。
img212.jpg
長年、道路に転がしてありましたが、通行にじゃまだということで、
今度は水神さんの境内に放り込まれてしまったそうです。
これを見たWさん、「これを後世に伝えていく責務が自分にあるのではないか
そう思って、保存に向けて奔走。

神戸地域は、富士の溶岩で水が出ない。集落の人たちは常に水で苦労した。
そんな水不足を解消するために遠い水源地から樋で水を引き、
集落に水をもたらしたのがWさんの祖父だったという
Wさんの「責務」という言葉には、
そんな祖父から伝わる強い郷土愛が感じられました。

立派に保存された力石とWさんです。
CIMG0290.jpg
石の重さは167㌔。新たに刻字を施しました。
「力石」 「奉納 平成二十年九月吉日 神戸上町内」

「よその力石を見に行ったりね、何もわからないものだから苦労しました
「説明文は学校の先生に書いてもらいました」

「雨宮さん、これでいいんだろうかね。本当にこれでよかったんだろうかね
Wさんは私に何度もそうおっしゃるんです。
そのたびに私は胸がいっぱいになりました
「息子がね、言ってくれたんですよ。
親父、心配するな、俺が守っていくからって」

力石の保存は大変です。ましてや、個人での保存は…。
でも富士市神戸の力石は、こうして水神さんに立派に保存されました。
そしてそれを守っていくことを、息子さんが約束してくれました。幸せな力石です。

見晴るかす富士の麓の力石   高島愼助

※先日お伝えした「両国橋・謎の石」、解明されつつあります。
  お楽しみに!!                                             
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雨宮清子(ちから姫)

昔の若者たちが力くらべに使った「力石(ちからいし)」の歴史・民俗調査をしています。この消えゆく文化遺産のことをぜひ、知ってください。

ーーー主な著作と入選歴

「東海道ぶらぶら旅日記ー静岡二十二宿」「お母さんの歩いた山道」
「おかあさんは今、山登りに夢中」
「静岡の力石」
週刊金曜日ルポルタージュ大賞 
新日本文学賞 浦安文学賞