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力くらべの経験者

内房の力石
06 /20 2014
力くらべの経験者、お二人にお会いできました。
お一人は、昨日ご紹介した富士宮市内房大晦日にお住まいです。
それまで私がお会いした経験者は、90代の方、ただお一人でした。
ところが大晦日の方は77歳とお若い。本当に嬉しい出会いでした。

Mさんといいます。芭蕉天神宮をお守りしている方です。
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「十九貫担いだ」と語る老人の 力石(いし)つかむ指、瞬時華やぐ

ファインダー覗けば力石(いし)に手を添えて 
六十年(むそとせ)昔の青年がいる


「昔は力仕事だったから、山から石を拾ってきて鍛えていたんだ」
そのMさんのもう一つの石がこれです。


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芭蕉天神宮です。深い山の中に忽然と姿を現す神秘的なお社です。
Mさんがいつも手入れをしています。


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もうお一人はFさん。Mさんより2歳若い方です。
大晦日の隣の集落、行政区域は富士市になりますが昔の青年仲間です。

「昔は大カヤの広場に集会所があってね。芝居やったりして遊んだんだ。
力くらべは昭和40年ごろまでやったよ。そのころはまだ青年が20人ほどいた。
女の子もいたよ。
先輩たちから、この石を持ち上げられなくてどうするって言われてね、
がんばったよ」

「持ち上げるにはコツがあるんだ。
まず腰を落としてから石の下に手を入れる。そこからヒザへあげるんだ。
ひと呼吸おいて今度は胸まであげるんだけど、20何貫なんてのになると、
どうしても肩まではあがらなかった」


Fさんが青年時代、自宅で愛用していた力石です。
CIMG0557.jpg
寸法は48×38×34.重さは不明。

今はここを離れて町に住むFさんの友人は、
「昔は広場でみんなやっていた。でもぼくはただ見ているだけでした」
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雨宮清子(ちから姫)

昔の若者たちが力くらべに使った「力石(ちからいし)」の歴史・民俗調査をしています。この消えゆく文化遺産のことをぜひ、知ってください。

ーーー主な著作と入選歴

「東海道ぶらぶら旅日記ー静岡二十二宿」「お母さんの歩いた山道」
「おかあさんは今、山登りに夢中」
「静岡の力石」
週刊金曜日ルポルタージュ大賞 
新日本文学賞 浦安文学賞