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石部神社の重軽石

力石
06 /07 2014
重軽石(おもかるいし)とは、吉凶を占った石のことです。
軽々と持ち上がれば吉、重くて持ち上がらない時は凶とされました。
それで「重軽石」といいます。
石で占うから「石占(いしうら)」。「重軽占い」ともいいます。

この石占の歴史は古いです。
「日本書記・景行記」にも出てきます。
景行天皇が戦いに行くとき、この石占をします。天皇は持ち上げたのではなく大石を
蹴っ飛ばします。すると大石は軽々と空へ舞った、つまり吉と出たわけです。

中世の狂言「石神」にも出てきます。
女遊びの激しい夫に愛想を尽かした女房が離婚を決意します。
そこで離婚すべきかどうかの石占をしたんですね。そしたら重くて持ち上がらない。
おかしいなあと思って石をよく見たら、離婚したくない夫が持ち上げさせてなるもの
かとふんばっていた…。

前置きが長くなりました。これが静岡市駿河区・石部神社の「重軽石」です。
CIMG0243 (2)
直径約20センチ、球形です。
石の表面に「力石」と刻字されています。あまりうまい文字ではないですが…。

力石はこの石占から発生したという説があります。
静岡出身の民俗学者・野本寛一先生は、石部神社のこの石を「重軽石から力石へ
の変遷を語るもの」と位置づけています。
でも、私の力石の師匠の高島先生はこんなご意見です。
高島先生のことはいずれご紹介します。
先生はおっしゃっています。
「全国調査を行っている中で、力石による石占的な談話はほとんど聞かれなかった」

この神社には、その二つの石が仲良くならんでいます。
非常に興味深い神社です。

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雨宮清子(ちから姫)

昔の若者たちが力くらべに使った「力石(ちからいし)」の歴史・民俗調査をしています。この消えゆく文化遺産のことをぜひ、知ってください。

ーーー主な著作と入選歴

「東海道ぶらぶら旅日記ー静岡二十二宿」「お母さんの歩いた山道」
「おかあさんは今、山登りに夢中」
「静岡の力石」
週刊金曜日ルポルタージュ大賞 
新日本文学賞 浦安文学賞