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「俺はリニアには乗らない」③

世間話③
09 /02 2023
肝心の乗車率はどうか。

東大の研究者二人によると、
「人口減少やリモートワークなどで新しい需要は見込めないため、
リニアが黒字になれば新幹線が赤字になり、そのまた逆もある。
どちらにしてもリニアは事業収支に悪化をもたらす」そうだ。

樫田秀樹氏の「リニア新幹線が不可能な7つの理由」に、こんな記述がある。


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岩波書店 2017

『2013年、(当時の)JR東海の山田佳臣社長は、記者会見でこう公言した。
「リニアは絶対ペイしません」
リニアは黒字にならないというのだ。


加えてリニア計画に反対する市民団体が国交省との交渉で、
「ペイしない事業をなぜ認めるのか」と質問すると、国交省鉄道局職員は、
「リニアはどこまでいっても赤字です。
ただ鉄道事業は採算だけで行うものではない」と』


それなら採算の合わない鉄道をなぜ、廃線にするの?
なぁんて、突っ込みたくなるが…。

リニアは赤字になるとみんなわかっている。
なのに、山を破壊し、生態系を危機にさらし、川から水を取り上げ、
コミュニティを壊し、大量の残土で災害を誘発し、莫大な税金を投入する。


富士山についで2番目に高い南アルプス北岳山頂にて、小学生の次男と。
まだ高山への子連れ登山が皆無に近かったころで、たくさん非難された。
確かにヒヤリハットも多々あったから、無事だったことは奇跡。
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下の写真は、鳳凰三山「南御室小屋」の小屋番さんと次男
雨の中をやってきた私たちをストーブの前に座らせ、みんなが口々に
「よく頑張ったね」と声を掛けてくれるので、次男は嬉しくてたまらない。

次男は日記にこう書いた。「頭も手も雪女みたいに冷たくなってしまった。
ご主人さんがストーブを燃やしてくれた」
山男たちにはずいぶん優しくしていただいた。
みなさんの支援があってこそできた母子登山でした。


大学生になった次男が仲間たちと旅に出たとき、
車窓に広がる黄金色の稲穂に「きれいだなぁ」と言ったら、みんなから
「どこが! ただの稲なのにおかしなヤツ」と笑われたと憤慨していた。

でも私は稲の美しさ、尊さを知っている息子を誇りに思いました。
小屋番さんと次男
43年前の南御室小屋

さらに樫田氏はこう書いている。

『2010年、国交省の中央新幹線小委員会が設置され、パブリック・コメントを
募集。888件集まり、計画中止や再検討の意見が648件に対し、
推進を望む声はわずか16件だった。


だが委員長の家田仁・東京大学大学院工学研究科教授は、
「批判は答申を覆す意見ではない」として、
リニア方式で建設、ルートは南アルプスルートでという答申を出した』

偉い人の一存でゴーサインって、何のためのパブコメ募集なんだろう。

じゃあ、この事業で誰が得するの?ってことになるわけですが、
知れば知るほど不思議なプロジェクトです。


残土というのは法律上は廃棄物ではなく資源だという。
国の公共事業では残土の活用先を指定してから事業認可をするが、
民間事業ではその限りではないのだそうで、

そのためか、「リニアでは活用先を決めずに着工した」


南アルプス聖岳登頂の際見た「ライチョウ」
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JR東海では一日の乗客を10万数千人と見込んでいるそうだが、どうだろう。
観光客を見込んでも、
リニアは新幹線や在来線に乗り換えることができないし、
窓ナシだから車窓から富士山は見えない。観光には不向きだろう。

シビアな株式市場は、この計画を発表したときドーンと下がったという。


これだけの悪条件が出揃っているのに、
なぜ工事を強行するのかといえば、唯一「速さ」なんだそうだ。

「日経ビジネス」誌では、記事の表題に「陸のコンコルド」と付けたそうだが、
山本氏は自著で、
「悲惨な墜落事故を起こして破綻した超音速コンコルドになぞらえている
ところに、リニアに対する評価がおのずと透けて見える」と述べている。


ネットでは川勝知事攻撃ばかりが目立つが、
過去から現在まで各分野の多くの学者や研究者たちは、地味ながら、
著書や論文で「リニアはいらない」と声を挙げているんです。

「大井川・川越し」 「東海道名所図会」より
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また登山から離れていたとはいえ、静岡の県や市の山岳連盟も反対の
署名運動を展開していたことを、私は今ごろになって知りました。


経済の低迷、物価高、貧困、人口減少、気候変動、国のすごい赤字、
リモートワークへの流れ、
そんな中で莫大な費用をかけた長期にわたるリニアの建設。

「世界の趨勢は行き詰った重化学工業からの脱却、
都市一極集中から地方分権的・分散的システムへの移行、
大量生産・大量消費・大量廃棄の経済活動からの転換を模索。

それを決定づけたのが、世界規模で蔓延したコロナだった」と山本氏。


下の写真は、鳳凰三山縦走中の長男と次男。
地蔵岳からの帰路、
深い谷に架かった手摺りもない細い丸木の一本橋に直面。
登山者の男性が心配そうに「ぼくたち、だいじょうぶだろうか」と。

私はきっぱりと「大丈夫です」と言い、
一人で渡っていく息子たちの背中を息を止めて見守った。

「おにいちゃんを見てろよ」と長男が弟に言い、最初に渡り切った。
続いて、まだ幼い次男も前方にいる兄に向かって渡り切った。
このときばかりは、
子供たちを命の危険にさらしてしまい、なんて無謀でバカな母親かと思った。

かなりの緊張を強いられたはずなのに、二人とも何も言わなかった。
私も何も聞かなかった。

いろんな出会いがあった。

私たち母子がいかにも危なっかしかったのか、山岳レンジャーの青年二人が、
薬師岳から次の観音岳まで同行。肩車したり山の話を聞かせてくれたり…。
別れたあと、息子たちは何度も振り返っては手を振る。
お兄さんたちの「ポヨッポヨッ、ホホホホー」の不思議な声が、
背後からいつまでも聞こえていた。

鳳凰三山1

世界の趨勢は変わりつつある。
だからこそ、学者さんたちは警告しているのでは?


「エネルギーを大量に使い、速さだけを誇るリニアは、
時代遅れの無用の長物となり、
外国への技術の輸出も難しいのではないか」と。

そして、
「日本人は戦後の驚異的な復興の成功体験をいまだに引きずっている」と。


そうですよね。
原発は今後10年以内に満杯、核燃料サイクルはすでに破綻
ということですから、電力の供給も危ういのでは?


福島原発の爆発で「アトムズ・フォア・ピース」は、平和どころか、
放射能被害という破滅をもたらす怪物であることを、みんなが知ってしまった。

そして今、溜まった「処理水」の海への放出で右往左往。

原子力がもう人間のキャパシティーを超えてしまい、お手上げなんだろう。
なんだか、昔見た映画「渚にて」を思い出す。


鳳凰三山での反省もコロッと忘れ、再び息子たちを連れて南ア茶臼岳へ。
北アのようなにぎやかさはなく、小屋も素泊まり。
この日は私たち親子だけだった。
おおつりばし
大井川・畑薙ダム湖上流の畑薙おおつり橋

茶臼岳の小屋にいたワンくんたちに、熱烈歓迎されたのもこのとき。

山小屋の地面に穴だけ開いたボットン便所、板敷に雑魚寝。
息子たちはそういう不自由さをむしろ面白がった。

小屋番のおじさんとの焚火も贅沢な遊びになった。

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だからこそ、このプロジェクトは本当に必要なのかを考えるべきで、
知事がああ言ったの、前とは違うことを言ったウソつきだのって、
うるさい小姑みたいな揚げ足取りをしている場合ではないんじゃないの?


南アは年間数ミリずつ隆起しているそうで、
数ミリとはいえ、この地殻変動は恐い。

断層の破水帯から突発的に大量の湧水が噴き出す懸念もあるそうだし。

JR東日本の松田会長とJR東海の会長だった葛西敬之氏は共に、
国鉄民営化の立役者だったそうですが、その松田氏が、
「俺はリニアには乗らない」と言ったことが、
すべてを語っていると、私は思います。


南ア北岳へ行く途中のお花畑。
小屋へ着くなり次男がひどい頭痛と足の痛みを訴えた。
高山病だとみんなが心配してくれたが、私はなぜか悠然と。
というより、実はどうしていいかわからず頭の中が真っ白に。

今なら冷静になって、ヘリコプター要請と騒ぐはずなのに。
幸い大事には至らず、翌朝は小屋の御主人特製の味噌汁をいただいて、
元気に登頂。思わず「山の神さまありがとう」と。
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「潔く引き返す」という登山のルールは、リニアにもあてはまる。

でも、企業が一度決めたことから引き返すのはなかなか大変。
突き進んで失敗したら「想定外だった」という言葉も用意されている。

準・国策事業のお墨付きも得ているし。


リニア破れて 山河荒れ、日本壊れた

になるか、はたまた、

リニア走って 山河荒れるも 日本栄えた

になるかは、のちの歴史のみぞ知る。

荒地に咲くコマクサ
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このプロジェクトへの投資を、現在の鉄道の保全に使う方がいいと思うし、
日本の再生のために、
山林、農地、牧畜、漁業、そういうところへ補助金とする方がいいなぁとも。

外国では自国の食料自給率を守るために、
農民などに7割、9割の補助をしているという。
日本政府はこういうことを真剣に考えて欲しい。

だって、飢餓になっても、リニアは腹の足しにもならないんだから。


ーーー参考までにーーー

静岡県のHPの
「リニア中央新幹線」をご覧いただけたら、
真面目に取り組んでいる姿勢がわかっていただけるかと思います。

※参考文献
 「リニア中央新幹線をめぐって」山本義隆 みすず書房 2021
 「福島の原発事故をめぐって」山本義隆 みすず書房 2011
 「南アルプスにリニアはいらない」宗像 充 オフィスエム 2018
 「リニア新幹線が不可能な7つの理由」樫田秀樹 岩波書店 2017

ーーー

山本義隆氏の著書には、ものすごく多くを学ばせていただきました。
氏は「解析力学」や「磁力と重力の発見」など多数の著作と、
数々の受賞歴のある物理学者、科学史家です。


ーーー

南アのリニア問題から息子たちと歩いた南ア登山まで思い出して、
長々書き連ねてしまいました。みなさま、申し訳ない。

私が愛した南アルプスの悲鳴が聞こえるようで、いたたまれず。

でも言いたかったことを言わせていただき、すっきりしました。


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「俺はリニアには乗らない」②

世間話③
08 /30 2023
大井川の水源である南アのトンネルについて、静岡新聞から拾う。

「南アのトンネルは山梨県
(富士川水系)、静岡県(大井川水系)、
長野県(天竜川水系)の3県にまたがっている。
このうち2県は橋の上を通過。
川の直下のトンネルを通るのは静岡県だけ。


静岡工区は標高が高いため、トンネル内に湧き出た水は、
山梨県と長野県へ流れ、大井川には戻らない。
それで県では大井川に戻すように求めていた」

大井川鉄道の車窓より見た大井川上流。寸又川との合流地点。
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JR東海のアセスメントでは、
工事完了後も大井川の流量は毎秒2トン減るとあるが、
「たかが2トンと言うなかれ」


「生活用水や農業用水を大井川に頼る中下流の8市2町の62万人分の
水利権量にも匹敵する膨大な量だ」と、山本義隆氏はいう。

静岡県のHPによると、
「JR東海から、工事中にトンネルから流失した水と同量を同時期に
大井川へ還元するため、田代ダムの取水制限をしたいと提案された」とある。

「田代ダム」というのはこれがまたややこしくて、

場所は静岡県にあって、大井川から取水して、
山梨県にある東京電力の発電所まで送水しているという

東京電力のためのダム湖。


ということは、このダム湖を作る前は、
ここの水は全部、大井川に流れていたってことになる。

で、JR東海は今後、その東電と話し合うとのことですが、
話し合いがうまくいったとしても、この「取水制限」はあくまでも工事中だけ。

工事完了後は「オラ、知ィーらね」になるというのだ。


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多くの媒体で「真っ赤なウソをつく川勝知事」などと
実名で知事批判を展開している地元新聞の元・記者の小林一哉氏は、
「大井川が渇水して水飢饉に見舞われたことはない。
なのに知事は虚構まみれの「命の水」に固執している」と主張するが、

長年、地元の記者だったという人が、
かつての「水返せ運動」を知らないはずはないのに。

「真っ赤なウソをつく」「虚構まみれ」は、どっち?
と思ってしまいました。


「水返せ運動」は1971年ごろから上流の住民たちから始まり、
ダムを造るごとに川への影響が中流域へ拡大。
1980年代後半をピークに約20年間続いた。
水返せ
「よみがえれ 大井川」静岡地理教育研究会編 古今書院 1991より

あれこそ、ダムの取水で川が干上がり、
困り果てた流域の住民たちと自治体が、
電力会社
(中部電力)を相手に起こした「命の水」の闘いだったのに。

住民と町長、議員、町役場が一体になって運動を起こしたことは珍しいことで、
この「渇水」がそれだけ切実な問題だった証拠です。


河原砂漠になった大井川で「水」の人文字をつくり、
「水があって川は、はじめて川といえる」と訴えた。
人文字
同上。写真は表紙の一部。

この住民運動で中部電力はようやく、塩郷ダムで毎秒5トンの放流を
約束したが、取材に訪れた私に地元の方が言った。

「まだまだ足りません。天竜川のような川下りのできる川に、
魚がいっぱい住める川に…。そう願っていると新聞に書いてください」


リニアでは、田代ダム湖の取水制限をずっとしなければ、
そのまだまだ足りない川の水を、さらに毎秒2トン減らされるんですよ。


こちらは最近の出来事です。
大井川下流の島田市で、国交省が行った護岸工事で水が出なくなった。
2020年工事着工。終了したのは昨年。だが水は戻らない。

損害を被った住民たちが国交省に掛け合うも、責任逃れに終始。




「今まで大井川で水枯れなんてなかった」「”命の水”発言は虚構まみれ」
「水で騒ぐ知事はおかしな人」、そう言っている人たちが、
この動画の被害者たちに寄り添って行動・発信した話は聞こえてこない。

知事攻撃の急先鋒の小林氏はこの島田市出身だそうだが、
同郷の人たちのために奔走しただろうか。

それにしてもこの小林氏は、なぜ執拗に知事を攻撃しているのだろうか。

ブログ「リニア中央新幹線…」のブログ主さんは、
発言を精査して「詭弁」と断じているが、なるほどと思いました。


大井川鉄道の日本唯一のアプト式列車
もとは水力発電所建設用の資材運搬のために施設されたトロッコ。
私が南ア登山の折に乗ったときも、簡単な屋根と吹きさらしの窓の
トロッコそのもので、背を丸めて大井川を眼下にゴットン、ガタガタ…。
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大井川は全長168㎞。
流域には14か所のダムと20か所の水力発電所がある。

ここを訪れた人が、
「大井川に水がないって言うけど、あるじゃないか。あんなに満々と」
というのは、ダム湖の水を見て言っているのでしょう。

発電に使った水は川に戻さず、巨大な導水管で次の発電所に送るため、
川にはわずかな水しか流れないんです。
だから常に渇水状態のため、節水制限が起きている。

中・下流域には410もの企業があるから、水の減少は死活問題です。

「2018年から19年には147日間も制限されたため、牧之原のお茶が枯れ、
企業の生産活動に影響が出た」
(静岡新聞)

江戸時代には「越すに越されぬ大井川」と謳われた川だから、
手つかずなら節水制限など起こりようがない。なのに、水で苦しめられる。


こういう県民に知事が寄り添うのは当たり前のことではないですか。

アプト式列車車内
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「リニア…」の著者・山本氏はこうも言う。

「南アルプスのようなプレートが押し上げられ、断層が重なった地下では、
一度岩盤に穴を開けると水は永久に抜け続けるので、
その影響は計り知れない」と。

水は低きに流れるから、
長野や山梨に流れて大井川へは永久に流れなくなる。
そうなったら、流域住民は生きていけません。だから「命の水」なんです。

水力電力に水を取られ、今またリニアに取られようとしている。
踏んだり蹴ったりではないか。

南アルプスは100万年前にできた山。
この山塊は、
100万年分の氷雪が沁み込んだ巨大な水がめです。

その大自然の貯水池に穴をあける。

そのことこそ、科学技術で自然を征服するのが進化だと思い込んでいる
「人間の驕り」「自然への冒とく」ではないかと思います。


大井川上流部の茶畑
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あれまッ!と思うことがまだある。

2016年、当時の安倍首相が閣議決定も閣議了解もしないまま独断で、
JR東海に3兆円の融資を決めた。
(準・国策事業への格上げ)

これが「無担保で金利は0.8%という低金利で、返済は30年後から」
という破格の優遇。
この約束をしたお二人はもう鬼籍に入られてしまったが、
返済が始まる22年後の2045年には果たしてどうなることやら。


こうした大規模建設の費用は、
最終的には天文学的に膨れ上がるのは、今までの例が示しているから、
ここもそうなるかもしれません。

準・国策事業だから不足分は国民の税金で賄われますから、
リニア問題は決してよその出来事ではなく、全国的な問題なんです。

JR東日本の元・会長が言った「ヘリウム」は、リニアには欠かせないもので、
アメリカから買うしかなく、供給量も少なく高価。
消耗品だからそれをずっと買い続けなければならないそうだ。

また「大量の電力が必要」なため、
原発の再稼働や新設をするしかないともいわれている。
JR東海はリニアは「クリーン」「省エネ」と胸を張るが、そうだろうか。

化石燃料はCO2を出して地球温暖化の元凶と言うが、
「使用済み核燃料の処理では全工程で大量の石油を使う」という。

ならばその原発の電力を大量に使うリニアは、
間接的にCO2を大量に吐き出すわけで、「クリーン」というのはウソになる。

国民に「エコ袋持参」を義務付けたあの大号令は、なんだったのか。


下は30年前、私が書いた大井川鉄道の新聞記事です。
蒸気機関車の機関士さんが汗びっしょりで言った。

「蒸気をあげるまで3時間もかかるんだ。そりゃあ電車の運転の方が
うんと楽だよ。だけどSLは生き物だからね。毎日肌をあててると可愛さが増す」

蒸気機関車「C11 227」です。1975年に北海道標津線から大井川鉄道へ。
右は子供たちに大人気の「トーマス号」
孫たちもこの夏、遠方からはるばる乗りに来ました。
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見ているだけで童心に帰る楽しいHPです。

JR東海の会長さんも社長さんも、
お孫さんを連れてどうぞ、トーマスくんに会いに来てください!


「大井川鐵道・きかんしゃトーマス」

費用の問題ばかりではない。
強い電磁場の人体への影響や、今後必ず起きるとされている南海トラフの
巨大地震、富士山噴火も大きな不安材料だ。


(補聴器を装着している私は、電子レンジの電磁波でも影響が
でるくらいだから電磁力で走るリニアには乗ることはできない)

JR東海では、その地震の折に大活躍するのがリニアだと胸を張るが、
地震や天災の時、リニアだけが無事だという保証はどこにもない。


大井川鉄道・蒸気機関車「C11 8」の釜の火。
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山本氏はいう。
「東日本大震災に力を発揮したのは、
普段は経営のお荷物のように扱われていたローカル線だった。
ハイテクよりローテクのほうが自然災害に強かったのです」


さらに静岡県立大学の先生からはこんな話も。

「リニアが地震などで緊急停車した時、乗客は2か所の非常口まで3㎞の
斜坑を徒歩で登らなければならない。

非常口は千石で標高1330m、西俣で1530m。
南海トラフの場合、県内は来訪者や新幹線、在来線の乗客の救助で
手一杯だろうから、リニアまで手が回らない。


非常口へ辿り着いても、そこから最寄りの集落までは30~40㎞もある。
冬なら低体温で死亡の恐れもある」

=静岡県立大学特任助教授・西 恭之氏メモ。
 報告者はMAG2 NEWS・小川和久氏。

小川氏は指摘する。
「メディアはこうした人命に関わることにはいっさい触れていない」

このメモは静岡県有識者会議で配布されたものだそうです。


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「俺はリニアには乗らない」①

世間話③
08 /27 2023
リニアについて、「硬い、長ったらしい」記事になります。
全くの素人の私が取り上げるテーマではないと重々承知していますが、
当事県の県民の一人として思い切って書いてみました。

舌足らず、知識不足のことも多々ありますが、ご理解ください。

       ーーーーーーーー

リニアは静岡市の最奥部、3000m峰が連なる南アルプスの地下を通る。
だから、静岡県人には何のメリットもない。

メリットはないのに、デメリットだけはたくさんある。
水源の破壊、残土、動植物への影響、大井川の水の減少・汚染、
どれも影響が大きい。


南アルプス塩見岳への初日。このころは疲れ知らずでよく歩いた。43歳。
この4か月後、ガンで2度手術。一か月の入院。
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もう一つの問題はJR東海の静岡県冷遇。いわゆる「静岡県飛ばし」だ。
これは石川嘉延・前静岡県知事時代からそうだった。

石川知事時代、JR東海に要求した案件はことごとく拒否された。


「新幹線ひかりの静岡駅への停車の増加」
「可能な限り、静岡駅もしくは県内1駅にのぞみを停車していただきたい」
「静岡空港予定地の地下に新幹線が通っているから、そこに新駅の設置を」


しかしJR東海はことごとくはねつけた上、追い打ちをかけるように、
ひかりとこだまの特急料金をのぞみと統一するとした。

これはのぞみが止まらない静岡県民の負担増となった。
  
JR東海のあまりの傲慢さ、静岡県軽視に当事の石川知事は怒り、
「県内を素通りするなら、のぞみ通行税を徴収する」と、突きつけた。


「地下に新駅を」の要望に対してJR東海は「技術的に無理」と言ってきたが、
リニアのため、山岳地帯の1400mの地下を掘る難工事をする技術はある。
おおいなる矛盾ではないか。


さて、JR東海はそうした非礼を次の現・川勝知事へも容赦なく浴びせた。

2018年、県庁でリニアの工事による環境問題を盛んに議論していたころ、
新社長になった金子氏
(現・会長)は、県庁へは出向かず、
わざわざ、すぐ向かいの市庁舎に静岡市長を訪れたという。

そこで、市長との間で「リニア建設への協力の合意書」を結んだそうで、
姑息というか、なんともいやらしい。

この金子氏が知事を訪問したのは、社長就任の2年後というのだから、
これほど人をバカにした話はないではないか。

これではリニアがうまくいくはずがない。

だって「工事をさせてください」と頼む方が、高圧的なんだから。


明日登る塩見岳を背景に。テント泊。女二人だけの気楽な山旅です。
彼女は聴覚障がい者だが、読唇術で全く会話に支障はなかった。
塩見3

川勝知事は「リニア賛成」を早くから表明していたが、
JR東海の非礼さや環境問題や大井川の水などの問題山積で、
昨今、いささかお疲れ気味。

さらに追い打ちをかけたのが、
全国規模で、ワラワラと湧き出てきたバッシングの嵐。
ちまたで囁かれている「川勝いじめ」だ。

「真っ赤な嘘をつく知事」「川勝は中国のスパイだ」
「国策に従わない知事は国賊だから、排除する法律を作って追い出せ」
などと言いたい放題。

県民の一人として、黙って聞き流すわけにはいきません。


特に「国策」「国賊」なんていう戦前の悪しき脅し文句を、
令和の今、再び発する人がいるなんて信じられないし、おぞましすぎる。

これではどんなにメンタルが強い人でも心身がおかしくなってしまいます。

昨年まで副知事(現・静岡市長)としてリニア問題に取り組み、
工学の専門家としてJR東海に対して、毅然とした対応をしていた難波氏に、
5通もの脅迫状が届いたという。


ネットの言葉や風評を真に受けて脅す。
大物一人をターゲットにして、集中砲火を浴びせて潰しにかかる。
匿名だから誹謗中傷は際限がない。県内か県外の人かさえわからない。
その人数さえ不確かだ。


翌朝、薄明の中を登頂開始。♪なんだ坂、こんな坂、とはいえ、チト手強い。
塩見薄明の中を

私は知事を応援しています。ただし、私は「リニアいらない派」

なぜいらないのかを、
山本義隆氏の
「リニア中央新幹線をめぐって」に依拠し、述べていきます。

「リニア…」の中から抜粋します。

JR東日本の元・会長の松田昌士氏の談話
=「日経ビジネス」2018・8・20=
として、こんな記述があった。

「リニアは高価なヘリウムを使い、大量の電力を消費する。
トンネルを時速500㎞で飛ばすと、ボルト一つはずれても大惨事になる。

俺はリニアには乗らない。

だって、地下の深いところだから、死骸も出ねぇわな」

 =地元で「モグラ列車」「棺桶新幹線」と揶揄されている理由がこれ。

南アルプスのトンネルが通るのは最深度・地下1400m。長さ25㎞。
残土は静岡工区で370万立法メートル。沿線7都県で約5680万立方メートル。

こんな途方もない残土を南アの谷や源流部に捨てるそうだけど、
人ンちの山のドテッパラに穴を開けて、出た土を人ンちの水源地に捨てるって、
自分勝手もいいとこだって、私は思うんですよね。

それに自然界への畏怖っていう感覚が全然ないんだもの。

やっきりしちゃうよ、まったく。

静岡県の最大の心配事は水。
反知事派は知事を「水でゴネているおかしな人」というが、
この水は大井川・中下流域の住民62万人の「命の水」ですから、
そりゃあ、真剣になりますよ。これについては次回。


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水とともに心配なのが、残土に含まれる有害物質だ。
岐阜県には放射性物質のウラン鉱床があり、
令和4年にリニア工事の残土から、ヒ素およびフッ素が検出されたという。

静岡県HPによると、
「トンネル内から出た残土のうち、自然由来の重金属などを含む残土を
JR東海では水源地の大井川河畔藤島付近に永久存置するという。
二重の遮水シートを被せるというが、シートの寿命など明らかにしていない。
流失すれば、川への汚染は避けられない。県では懸念している」
とのこと。

古くは足尾銅山鉱毒事件や神岡鉱山のイタイイタイ病があり、
直近では、北海道で掘削していた穴からヒ素が噴き上り、
住民がヒ素中毒になるという事故があったばかり。

鉱毒などは、
ジワジワと田畑や山林や人体に浸透していくからやっかいだ。

重金属残土だけではない。あとの残土360万立法メートルは、
日本一崩れやすい「千枚崩れ」の下流・燕沢などに永久残置するというのだ。
この土砂が崩壊すれば、堰き止められた水で大規模な災害が発生する。

高山の崩壊地や水源地に多量の残土を置き、
遮水シートを被せて永久存置って、
バカも休み休み言えと言いたい。


下記の「急がば回れぢゃ」さんのブログ記事をぜひ、見てください。
残土置き場とされている地形など詳しく書かれています。

=地形については8月4日の記事に詳しい。
実名で知事攻撃を繰り返している
二人のジャーナリストも取り上げています。

「リニア中央新幹線
南アルプスに穴を開けちゃっていいのかい」

「8月4日」「8月13日」の記事も、ぜひ。

人が手つかずの自然に手を突っ込んだことによって、
未知のウイルスが出現したが、それと似ているような気がします。



塩見岳から北荒川岳へ向かう途中の北俣岳分岐から蝙蝠岳へ。
ほとんどの登山者が素通り。稜線上は二人だけの天下。
紺碧の空の中を上機嫌で歩いた。
塩見1

さて、知事の一番大きな狙いは、私の憶測ですが、
静岡空港地下か付近に新幹線新駅を作ること。
その駒が「南アのトンネルの水問題」ではないだろうか。


新幹線新駅は前知事からの願いであり、
静岡県経済界からの熱望でもあると思います。

だってリニアが出来てそちらが主流になれば、
流れが東京ー名古屋ー大阪となって、静岡県は完全にスルーですから。
新道ができると人や物資の流れが変わり、集落が衰退するのと同じ原理です。


そこで、勝手な想像ですが、両者のもくろみはこうではないか、と。

知事は「新幹線新駅を作るなら、トンネル工事は許可する。
    ただし水問題は流域住民の納得のいく形で」
JR東海は「許可しようがしまいが工事は続行するし、新駅を作る気もない」


こう見てくると「国策事業」を錦の御旗に立てて、
デメリットだけを押し付けてくるJR東海の方がゴネていると思いたくなります。


無事、縦走を終えて「両俣小屋」の女性小屋番さんと。
塩見岳北俣岳蝙蝠岳ピストン~北荒川岳新蛇抜山安倍荒倉岳熊ノ平小屋三峯岳両俣小屋北沢橋まで3時間~広河原まで2時間。歩きまくった。

靴を脱いだら、ふやけた足の先で爪が2本黒くなって死んでいた。
img20230823_08462209.jpg

忘れてならないのは、
JR東海は今は国鉄ではなく民間企業。
営利企業は利益第一が命ですから時には冷酷です。

そういう私企業に対して県政の長として、
知事が県民の利益優先のため駆け引きをするのは当たり前のこと、
というのは、どなたも異論はないと思います。

で、不思議だなぁと思うのは、
県議会議員の10数人が、知事の言葉尻を捉えてネット民の如く貶めたり、
知事不信任案まで出したりする、私にはそのことが理解できないのです。

県民の豊かな暮らしと経済の活性を願うはずの県議員たちが、
静岡の山河を壊し静岡の経済に何のメリットももたらさない、
と私には思えるリニア建設なのに、なぜ、相手のJR東海に加担するのか。

「静岡県飛ばし」という衰退への道を、なぜ選ぶのか。

こうした議員たちと圧倒的な知事支持の県民との乖離が、
この問題をより煩雑にしているように思えて仕方がありません。


※参考文献
「リニア中央新幹線をめぐって」原発事故とコロナ・パンデミックから見直す
山本義隆 みすず書房 2021

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さよなら、庚申さん

世間話③
08 /24 2023
湿地帯が広がる原野に、一本の細い道があった。
その道はその先の峠へ向かう道で、人家もなく寂しいところだった。


img20230408_13152066.jpg
「麻機誌」より

ただ一つ、庚申塔が一基、上り坂にかかる手前にポツンと置かれていた。

造立は享保13年
(1728)
今から295年前の村人たちが建てた。


自然石の真ん中に「奉納庚申供養塔」。上部には「日輪」「月輪」。
下部には猿と鶏の文字。その下に「結衆」と刻まれています。

かつてここは、町の人から「異界」と言われていた寒村で、
泥田の中を腰まで浸かって田植えをしていたから、
「こいはち」という病いを発症する者が多かった。

体が腫れるのを「身肥い(みごい)」、手足が腫れるのを「足肥い」
と言った。風土病といっていたが破傷風か何かだったのだろう。

庚申さんは、昭和45年にもまだ同じ場所にありました。

img072.jpg

昭和53年、状況は一変。
時代は住宅ブームとなって、茶畑が削られ湿地帯は埋められて、
建売住宅や団地が林立する新興住宅地になった。

庚申さんの立つ場所も河川改修工事や橋の架け替えが始まり、
庚申さんは引っ越した。


工事が済んで、また元の場所に帰ってきたが、
体は3つに割れてしまったので、工事の人がコンクリートでくっつけた。

町から大勢の家族が引っ越してきたが、
庚申さんに目を留める人はいなかった。

ただそばに立つカラスザンショウの木だけが、そっと寄り添っていた。

夏には大きく枝を張り、その枝に葉っぱをたくさん生やして木陰を作り、
庚申さんをキツイ太陽光線から守っていた。


CIMG3351.jpg

そして冬になると葉を落として、
今度は庚申さんにあたたかいお日様をプレゼントした。

CIMG2909.jpg

木にはたくさんの鋭いトゲが出ていたが、
鳥たちはこの木に止まり、夏には人もまた木陰で一休みして汗をぬぐった。


CIMG3347.jpg

でも庚申さんはボロボロ。
建立から300年近くも立ったんですから、無理もありません。

苔と泥におおわれて、刻まれた文字もほとんど消えて、
ただの石になってしまいました。

それでもがんばっていましたよ。
足元に湯飲み茶碗があったから、誰かがそっと置いたんですね。


庚申塔

しばらく平穏が続きましたが、また、工事が始まりました。

川にかかる橋が古くなったのです。
それに人も車もまた増えて、狭くて仕方がありません。
バスも窮屈そうに右、左に気を付けて通り過ぎます。


無理もありません。
昭和53年の河川工事から、すでに45年も立ったんですから。

そこで道幅を広げて、大きな橋を架けることになりました。


カラスザンショウは引き抜かれました。
庚申さんの行方はわかりません。
どこかのお寺が引き取ってくださったならいいのですが…。

でももう文字も読めなくなって、ただの石になっていたので、
自然に返されたのかもしれません。

更地になった

300年間、ごくろうさまでした。そしてありがとう。

またどこかで会えるかな。
でも一人静かに眠りにつくほうが、庚申さんにとって、一番幸せかも。


と書いた数日後、

工事の方にお聞きしたら、「仮置き場においてあります」との嬉しいお返事。

でも、そのあとこんな質問が…。「庚申さんって何ですか?」
ひとしきり説明したけど、おにいさん、???

「幸せを願って、300年前のこの村の人たちが建てたものです」
と言ったら、なんとなく納得。


20230822_094907.jpg

きれいにしてもらったら、文字がくっきり出てきました。

拡大3

「なんだかわからない石だけど、撤去の時、お祓いをしてもらいました」
の言葉に、私、感動しちゃって。

これから本当の置き場所を探すとのことでした。

庚申さんのお話、ひとまずおしまい。


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女の風上にも置けない

世間話③
08 /21 2023
今日は怒り爆発だ!

ネットはまともな報道を隠すための目くらましかと思うほど、
芸能人のニュースばかりで。

芸能ニュースはキワモノだったから、昔はちゃんと分けていた。
雑誌全盛のころは芸能週刊誌やスポーツ新聞がそれを担っていたから、
買わなければ見なくて済んだ。

テレビは自分で番組を選べた。


でも今は、PCを開ければ否応なく見せられる。

整形人間を並べて、
「息を飲むほど美しい」だの「すっぴん顔でもこの美しさ」だの、
「奇跡の若さ。とてもお年には見えない」だのって。

アホじゃないの。

昔を言い募るのは、年を取った証拠だと嗤われようが私は言う。

「醜いねぇ」って。醜いだけじゃなくて「気持ち悪いよ」
「内面からにじみ出てくる美しさこそ本物なんだ」と。


凍らせたイチゴです。私の夏の飲み物の一つになります。
20230815_084626.jpg

この前、女性の国会議員ご一行さまの観光旅行が物議を醸していたけど、
政治家じゃないよね、この人たち。芸能ニュースの人たちだよね。
それも三流芸人の…。

芸能人なら芸があるけど、この人たちには「少子化対策」などという
中身空っぽのとってつけたような「芸」しかなかったんだから。

日本の少子化を心配してるって言いながら、なんでフランスなのさ。


自国と自国民の行く末が心配なら、
なんで国内の山村や漁村や廃村や限界集落を訪ねないの。

なんでそこに人が住まなくなったのか、
なんで子供が減っていくのか、


答えはフランスにではなく、ここにあるんじゃない。

日本の食料自給率を考えたことはあるのか。
なぜ、山が荒れ放題になり、なぜ、放置された耕作地が広がり、
牧場から牛がいなくなるのはなぜなのか。

未来ある若者たちの自暴自棄、自殺、事件が増えたのはなぜか。

そういう深刻な状況に心が痛んだりしたことはないのか。


外国から安い木材や食材がどんどん入ってくるからでしょうに。
四面、海に囲まれた島国だってのに、魚まで輸入して、
自国民を自滅へ追い立てている。

そうそう。他国の怪しげな宗教まで招き入れて。

これらはみんな、政治家が招いたことではないですか。

彼女らにそれが見えていないのは、
シッポを振る相手が国民ではないからじゃないの?


コップに凍ったイチゴをいれて水を注ぐだけ。ほんのりピンクに染まります。
いちご

山村から人が消え、田畑が荒れ、人々は難民の如く都会に集まる。
住み慣れた故郷を捨てざるを得なかったのは、
そうしなければ食べていけないから。国が地方を切り捨てたから。

今、世界の流れは、
化学工業重視の経済活動最優先や都市への一極集中は
もはや終わりだと悟り、地方への分権分散を模索してるってのに。

どうやらこの国にはそうした「先を読む」政治家はいないらしい。

「自分さえよければ」の政治家がいる限り、
林業家が苦労して木を育て、保全に心血を注いでも、
研究熱心な農家さんがどんなにいい作物を作っても、
酪農家が安心安全なおいしい肉や牛乳作りに頑張っていても、

国が招き入れた外資の前に倒れていくしかない。

他所の国では「外資に食いつぶされない法整備」をして、
自国民を守っているのに、日本はどうよ。穴だらけじゃないのさ。

そんな穴だらけの国の政治家でありながら、
「フランス料理はおいしかった」と言うしか能がないなんて、実に情けない。

「食をコントロールする者が人民を支配する」という大国に、
日本はすでに支配されてるってのに。


支配されてるってことは、生殺与奪を握られてるってことなんだよ。

税金で食べた料理を写真に撮って、自国民に見せびらかす人もいた。
精神年齢はいくつなの?

でもよく覚えておくがいい。「食い物の恨みは恐ろしい」と。
特に、その日の食べ物もない貧困にあえぐ人が増えた今は…。


鳥が台風の豪雨の中、電線に止まったまま雨に打たれていた。
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ある議員が国会で、
北海道の土地が外資に売られていることを憂慮して質問したら、
当時の大臣が、
「ニセコのようなああした土地は、外国資本が入ってこないと、
今の繁栄はなかったと思う」って、ノー天気な答弁をした。
(平野秀樹氏)

だから言われたのかもな。

「1995年、中国の李鵬首相がオーストラリアの首相に、
日本という国は40年後にはなくなってしまうかもわからぬ」と。
(宮本雅史氏)

すでに命の水を外資に委ねた自治体もある。
こんな軽率で恐ろしいことはない。


でもこうしたことは、みんなあんたら政治家が招いたことではないですか。

真剣に日本国のこと、国民のことを考えて政治家になったのなら、
フランスへ税金で観光旅行へ行く発想も、
クルーズ船に乗ってはしゃぎまくるなんてこともあり得ない。

むしろ「こうした悪い慣行は止めませんか」と進言すべきでしょうに。


女の政治家なら、もっと身近な暮らし向きのことをなぜ考えないの?
子供のことや同じ女たちに夢や希望を持たせる仕組みを、
なぜ真剣に模索しないの?


若者たちが将来の夢を描ける社会、誇りを持てる人生を
なぜ、作ろうとしないのか。

夜空に白い雲。
雲

東大卒? 有名歌手? それがどうした?
その肩書が人々のために何かの役に立ちましたか?

フランスに行くヒマがあったなら、日本の隅に目を向けろと言いたい。
すべての問題とすべての答えは、この日本の中にあるんだから。

ただし、田舎の盆踊りに参加するのは違いますよ。
あれは票欲しさに媚びを売りに行くだけだから。


「男たちだってやってるじゃない。もっとえげつないことを。
ただ巧妙に振る舞うからわからないだけ」というのも真実だろう。

だからこそ、私はそういう男たちと同じふるまいをしてほしくはなかった。
同じふるまいをするのなら、わざわざ女性を政治家に選ぶ必要はない。

かつての女性政治家たちは、
古い因習や差別に苦しめられている女性たちの解放のために闘った。


同性だからこそ言う。

そういう真面目さ。勤勉さ。融通の利かなさ。潔癖さ。
そこにこそ、女性政治家のありがたさが出てくるのだから。

でなければ血税であんたらを「飼っておく」意味がない。
ただの人寄せパンダに「飯を食わせる」義務は、サラサラない。


とうがらし

とまあ、文章ではスラスラと勇ましいことを言えるのに、
これがご近所や職場のいやがらせだと、からきしダメで…。
うまく言えなくて、グッと我慢しちゃうんですよ。

そんな自分の不甲斐なさと悔しさで自律神経がおかしくなって、
不眠症や胃腸障害を起こす。バカですねぇ。


※参考文献
領土喪失・規制なき外国人の土地買収」
宮本雅史 平野秀樹 KADOKAWA 2018
サイレント国土買収・再エネ礼賛の罠」平野秀樹 KADOKAWA 2023
日本が売られる」堤 未果 幻冬舎 2018

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雨宮清子(ちから姫)

昔の若者たちが力くらべに使った「力石(ちからいし)」の歴史・民俗調査をしています。この消えゆく文化遺産のことをぜひ、知ってください。

ーーー主な著作と入選歴

「東海道ぶらぶら旅日記ー静岡二十二宿」「お母さんの歩いた山道」
「おかあさんは今、山登りに夢中」
「静岡の力石」
週刊金曜日ルポルタージュ大賞 
新日本文学賞 浦安文学賞