「俺はリニアには乗らない」③
世間話③
肝心の乗車率はどうか。
東大の研究者二人によると、
「人口減少やリモートワークなどで新しい需要は見込めないため、
リニアが黒字になれば新幹線が赤字になり、そのまた逆もある。
どちらにしてもリニアは事業収支に悪化をもたらす」そうだ。
樫田秀樹氏の「リニア新幹線が不可能な7つの理由」に、こんな記述がある。

岩波書店 2017
『2013年、(当時の)JR東海の山田佳臣社長は、記者会見でこう公言した。
「リニアは絶対ペイしません」
リニアは黒字にならないというのだ。
加えてリニア計画に反対する市民団体が国交省との交渉で、
「ペイしない事業をなぜ認めるのか」と質問すると、国交省鉄道局職員は、
「リニアはどこまでいっても赤字です。
ただ鉄道事業は採算だけで行うものではない」と』
それなら採算の合わない鉄道をなぜ、廃線にするの?
なぁんて、突っ込みたくなるが…。
リニアは赤字になるとみんなわかっている。
なのに、山を破壊し、生態系を危機にさらし、川から水を取り上げ、
コミュニティを壊し、大量の残土で災害を誘発し、莫大な税金を投入する。
富士山についで2番目に高い南アルプス北岳山頂にて、小学生の次男と。
まだ高山への子連れ登山が皆無に近かったころで、たくさん非難された。
確かにヒヤリハットも多々あったから、無事だったことは奇跡。

下の写真は、鳳凰三山「南御室小屋」の小屋番さんと次男。
雨の中をやってきた私たちをストーブの前に座らせ、みんなが口々に
「よく頑張ったね」と声を掛けてくれるので、次男は嬉しくてたまらない。
次男は日記にこう書いた。「頭も手も雪女みたいに冷たくなってしまった。
ご主人さんがストーブを燃やしてくれた」
山男たちにはずいぶん優しくしていただいた。
みなさんの支援があってこそできた母子登山でした。
大学生になった次男が仲間たちと旅に出たとき、
車窓に広がる黄金色の稲穂に「きれいだなぁ」と言ったら、みんなから
「どこが! ただの稲なのにおかしなヤツ」と笑われたと憤慨していた。
でも私は稲の美しさ、尊さを知っている息子を誇りに思いました。

43年前の南御室小屋
さらに樫田氏はこう書いている。
『2010年、国交省の中央新幹線小委員会が設置され、パブリック・コメントを
募集。888件集まり、計画中止や再検討の意見が648件に対し、
推進を望む声はわずか16件だった。
だが委員長の家田仁・東京大学大学院工学研究科教授は、
「批判は答申を覆す意見ではない」として、
リニア方式で建設、ルートは南アルプスルートでという答申を出した』
偉い人の一存でゴーサインって、何のためのパブコメ募集なんだろう。
じゃあ、この事業で誰が得するの?ってことになるわけですが、
知れば知るほど不思議なプロジェクトです。
残土というのは法律上は廃棄物ではなく資源だという。
国の公共事業では残土の活用先を指定してから事業認可をするが、
民間事業ではその限りではないのだそうで、
そのためか、「リニアでは活用先を決めずに着工した」
南アルプス聖岳登頂の際見た「ライチョウ」

JR東海では一日の乗客を10万数千人と見込んでいるそうだが、どうだろう。
観光客を見込んでも、
リニアは新幹線や在来線に乗り換えることができないし、
窓ナシだから車窓から富士山は見えない。観光には不向きだろう。
シビアな株式市場は、この計画を発表したときドーンと下がったという。
これだけの悪条件が出揃っているのに、
なぜ工事を強行するのかといえば、唯一「速さ」なんだそうだ。
「日経ビジネス」誌では、記事の表題に「陸のコンコルド」と付けたそうだが、
山本氏は自著で、
「悲惨な墜落事故を起こして破綻した超音速コンコルドになぞらえている
ところに、リニアに対する評価がおのずと透けて見える」と述べている。
ネットでは川勝知事攻撃ばかりが目立つが、
過去から現在まで各分野の多くの学者や研究者たちは、地味ながら、
著書や論文で「リニアはいらない」と声を挙げているんです。
「大井川・川越し」 「東海道名所図会」より

また登山から離れていたとはいえ、静岡の県や市の山岳連盟も反対の
署名運動を展開していたことを、私は今ごろになって知りました。
経済の低迷、物価高、貧困、人口減少、気候変動、国のすごい赤字、
リモートワークへの流れ、
そんな中で莫大な費用をかけた長期にわたるリニアの建設。
「世界の趨勢は行き詰った重化学工業からの脱却、
都市一極集中から地方分権的・分散的システムへの移行、
大量生産・大量消費・大量廃棄の経済活動からの転換を模索。
それを決定づけたのが、世界規模で蔓延したコロナだった」と山本氏。
下の写真は、鳳凰三山縦走中の長男と次男。
地蔵岳からの帰路、
深い谷に架かった手摺りもない細い丸木の一本橋に直面。
登山者の男性が心配そうに「ぼくたち、だいじょうぶだろうか」と。
私はきっぱりと「大丈夫です」と言い、
一人で渡っていく息子たちの背中を息を止めて見守った。
「おにいちゃんを見てろよ」と長男が弟に言い、最初に渡り切った。
続いて、まだ幼い次男も前方にいる兄に向かって渡り切った。
このときばかりは、
子供たちを命の危険にさらしてしまい、なんて無謀でバカな母親かと思った。
かなりの緊張を強いられたはずなのに、二人とも何も言わなかった。
私も何も聞かなかった。
いろんな出会いがあった。
私たち母子がいかにも危なっかしかったのか、山岳レンジャーの青年二人が、
薬師岳から次の観音岳まで同行。肩車したり山の話を聞かせてくれたり…。
別れたあと、息子たちは何度も振り返っては手を振る。
お兄さんたちの「ポヨッポヨッ、ホホホホー」の不思議な声が、
背後からいつまでも聞こえていた。

世界の趨勢は変わりつつある。
だからこそ、学者さんたちは警告しているのでは?
「エネルギーを大量に使い、速さだけを誇るリニアは、
時代遅れの無用の長物となり、
外国への技術の輸出も難しいのではないか」と。
そして、
「日本人は戦後の驚異的な復興の成功体験をいまだに引きずっている」と。
そうですよね。
原発は今後10年以内に満杯、核燃料サイクルはすでに破綻
ということですから、電力の供給も危ういのでは?
福島原発の爆発で「アトムズ・フォア・ピース」は、平和どころか、
放射能被害という破滅をもたらす怪物であることを、みんなが知ってしまった。
そして今、溜まった「処理水」の海への放出で右往左往。
原子力がもう人間のキャパシティーを超えてしまい、お手上げなんだろう。
なんだか、昔見た映画「渚にて」を思い出す。
鳳凰三山での反省もコロッと忘れ、再び息子たちを連れて南ア茶臼岳へ。
北アのようなにぎやかさはなく、小屋も素泊まり。
この日は私たち親子だけだった。

大井川・畑薙ダム湖上流の畑薙おおつり橋
茶臼岳の小屋にいたワンくんたちに、熱烈歓迎されたのもこのとき。
山小屋の地面に穴だけ開いたボットン便所、板敷に雑魚寝。
息子たちはそういう不自由さをむしろ面白がった。
小屋番のおじさんとの焚火も贅沢な遊びになった。

だからこそ、このプロジェクトは本当に必要なのかを考えるべきで、
知事がああ言ったの、前とは違うことを言ったウソつきだのって、
うるさい小姑みたいな揚げ足取りをしている場合ではないんじゃないの?
南アは年間数ミリずつ隆起しているそうで、
数ミリとはいえ、この地殻変動は恐い。
断層の破水帯から突発的に大量の湧水が噴き出す懸念もあるそうだし。
JR東日本の松田会長とJR東海の会長だった葛西敬之氏は共に、
国鉄民営化の立役者だったそうですが、その松田氏が、
「俺はリニアには乗らない」と言ったことが、
すべてを語っていると、私は思います。
南ア北岳へ行く途中のお花畑。
小屋へ着くなり次男がひどい頭痛と足の痛みを訴えた。
高山病だとみんなが心配してくれたが、私はなぜか悠然と。
というより、実はどうしていいかわからず頭の中が真っ白に。
今なら冷静になって、ヘリコプター要請と騒ぐはずなのに。
幸い大事には至らず、翌朝は小屋の御主人特製の味噌汁をいただいて、
元気に登頂。思わず「山の神さまありがとう」と。

「潔く引き返す」という登山のルールは、リニアにもあてはまる。
でも、企業が一度決めたことから引き返すのはなかなか大変。
突き進んで失敗したら「想定外だった」という言葉も用意されている。
準・国策事業のお墨付きも得ているし。
リニア破れて 山河荒れ、日本壊れた
になるか、はたまた、
リニア走って 山河荒れるも 日本栄えた
になるかは、のちの歴史のみぞ知る。
荒地に咲くコマクサ

このプロジェクトへの投資を、現在の鉄道の保全に使う方がいいと思うし、
日本の再生のために、
山林、農地、牧畜、漁業、そういうところへ補助金とする方がいいなぁとも。
外国では自国の食料自給率を守るために、
農民などに7割、9割の補助をしているという。
日本政府はこういうことを真剣に考えて欲しい。
だって、飢餓になっても、リニアは腹の足しにもならないんだから。

ーーー参考までにーーー
静岡県のHPの
「リニア中央新幹線」をご覧いただけたら、
真面目に取り組んでいる姿勢がわかっていただけるかと思います。
※参考文献
「リニア中央新幹線をめぐって」山本義隆 みすず書房 2021
「福島の原発事故をめぐって」山本義隆 みすず書房 2011
「南アルプスにリニアはいらない」宗像 充 オフィスエム 2018
「リニア新幹線が不可能な7つの理由」樫田秀樹 岩波書店 2017

ーーー
山本義隆氏の著書には、ものすごく多くを学ばせていただきました。
氏は「解析力学」や「磁力と重力の発見」など多数の著作と、
数々の受賞歴のある物理学者、科学史家です。

ーーー
南アのリニア問題から息子たちと歩いた南ア登山まで思い出して、
長々書き連ねてしまいました。みなさま、申し訳ない。
私が愛した南アルプスの悲鳴が聞こえるようで、いたたまれず。
でも言いたかったことを言わせていただき、すっきりしました。

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東大の研究者二人によると、
「人口減少やリモートワークなどで新しい需要は見込めないため、
リニアが黒字になれば新幹線が赤字になり、そのまた逆もある。
どちらにしてもリニアは事業収支に悪化をもたらす」そうだ。
樫田秀樹氏の「リニア新幹線が不可能な7つの理由」に、こんな記述がある。

岩波書店 2017
『2013年、(当時の)JR東海の山田佳臣社長は、記者会見でこう公言した。
「リニアは絶対ペイしません」
リニアは黒字にならないというのだ。
加えてリニア計画に反対する市民団体が国交省との交渉で、
「ペイしない事業をなぜ認めるのか」と質問すると、国交省鉄道局職員は、
「リニアはどこまでいっても赤字です。
ただ鉄道事業は採算だけで行うものではない」と』
それなら採算の合わない鉄道をなぜ、廃線にするの?
なぁんて、突っ込みたくなるが…。
リニアは赤字になるとみんなわかっている。
なのに、山を破壊し、生態系を危機にさらし、川から水を取り上げ、
コミュニティを壊し、大量の残土で災害を誘発し、莫大な税金を投入する。
富士山についで2番目に高い南アルプス北岳山頂にて、小学生の次男と。
まだ高山への子連れ登山が皆無に近かったころで、たくさん非難された。
確かにヒヤリハットも多々あったから、無事だったことは奇跡。

下の写真は、鳳凰三山「南御室小屋」の小屋番さんと次男。
雨の中をやってきた私たちをストーブの前に座らせ、みんなが口々に
「よく頑張ったね」と声を掛けてくれるので、次男は嬉しくてたまらない。
次男は日記にこう書いた。「頭も手も雪女みたいに冷たくなってしまった。
ご主人さんがストーブを燃やしてくれた」
山男たちにはずいぶん優しくしていただいた。
みなさんの支援があってこそできた母子登山でした。
大学生になった次男が仲間たちと旅に出たとき、
車窓に広がる黄金色の稲穂に「きれいだなぁ」と言ったら、みんなから
「どこが! ただの稲なのにおかしなヤツ」と笑われたと憤慨していた。
でも私は稲の美しさ、尊さを知っている息子を誇りに思いました。

43年前の南御室小屋
さらに樫田氏はこう書いている。
『2010年、国交省の中央新幹線小委員会が設置され、パブリック・コメントを
募集。888件集まり、計画中止や再検討の意見が648件に対し、
推進を望む声はわずか16件だった。
だが委員長の家田仁・東京大学大学院工学研究科教授は、
「批判は答申を覆す意見ではない」として、
リニア方式で建設、ルートは南アルプスルートでという答申を出した』
偉い人の一存でゴーサインって、何のためのパブコメ募集なんだろう。
じゃあ、この事業で誰が得するの?ってことになるわけですが、
知れば知るほど不思議なプロジェクトです。
残土というのは法律上は廃棄物ではなく資源だという。
国の公共事業では残土の活用先を指定してから事業認可をするが、
民間事業ではその限りではないのだそうで、
そのためか、「リニアでは活用先を決めずに着工した」
南アルプス聖岳登頂の際見た「ライチョウ」

JR東海では一日の乗客を10万数千人と見込んでいるそうだが、どうだろう。
観光客を見込んでも、
リニアは新幹線や在来線に乗り換えることができないし、
窓ナシだから車窓から富士山は見えない。観光には不向きだろう。
シビアな株式市場は、この計画を発表したときドーンと下がったという。
これだけの悪条件が出揃っているのに、
なぜ工事を強行するのかといえば、唯一「速さ」なんだそうだ。
「日経ビジネス」誌では、記事の表題に「陸のコンコルド」と付けたそうだが、
山本氏は自著で、
「悲惨な墜落事故を起こして破綻した超音速コンコルドになぞらえている
ところに、リニアに対する評価がおのずと透けて見える」と述べている。
ネットでは川勝知事攻撃ばかりが目立つが、
過去から現在まで各分野の多くの学者や研究者たちは、地味ながら、
著書や論文で「リニアはいらない」と声を挙げているんです。
「大井川・川越し」 「東海道名所図会」より

また登山から離れていたとはいえ、静岡の県や市の山岳連盟も反対の
署名運動を展開していたことを、私は今ごろになって知りました。
経済の低迷、物価高、貧困、人口減少、気候変動、国のすごい赤字、
リモートワークへの流れ、
そんな中で莫大な費用をかけた長期にわたるリニアの建設。
「世界の趨勢は行き詰った重化学工業からの脱却、
都市一極集中から地方分権的・分散的システムへの移行、
大量生産・大量消費・大量廃棄の経済活動からの転換を模索。
それを決定づけたのが、世界規模で蔓延したコロナだった」と山本氏。
下の写真は、鳳凰三山縦走中の長男と次男。
地蔵岳からの帰路、
深い谷に架かった手摺りもない細い丸木の一本橋に直面。
登山者の男性が心配そうに「ぼくたち、だいじょうぶだろうか」と。
私はきっぱりと「大丈夫です」と言い、
一人で渡っていく息子たちの背中を息を止めて見守った。
「おにいちゃんを見てろよ」と長男が弟に言い、最初に渡り切った。
続いて、まだ幼い次男も前方にいる兄に向かって渡り切った。
このときばかりは、
子供たちを命の危険にさらしてしまい、なんて無謀でバカな母親かと思った。
かなりの緊張を強いられたはずなのに、二人とも何も言わなかった。
私も何も聞かなかった。
いろんな出会いがあった。
私たち母子がいかにも危なっかしかったのか、山岳レンジャーの青年二人が、
薬師岳から次の観音岳まで同行。肩車したり山の話を聞かせてくれたり…。
別れたあと、息子たちは何度も振り返っては手を振る。
お兄さんたちの「ポヨッポヨッ、ホホホホー」の不思議な声が、
背後からいつまでも聞こえていた。

世界の趨勢は変わりつつある。
だからこそ、学者さんたちは警告しているのでは?
「エネルギーを大量に使い、速さだけを誇るリニアは、
時代遅れの無用の長物となり、
外国への技術の輸出も難しいのではないか」と。
そして、
「日本人は戦後の驚異的な復興の成功体験をいまだに引きずっている」と。
そうですよね。
原発は今後10年以内に満杯、核燃料サイクルはすでに破綻
ということですから、電力の供給も危ういのでは?
福島原発の爆発で「アトムズ・フォア・ピース」は、平和どころか、
放射能被害という破滅をもたらす怪物であることを、みんなが知ってしまった。
そして今、溜まった「処理水」の海への放出で右往左往。
原子力がもう人間のキャパシティーを超えてしまい、お手上げなんだろう。
なんだか、昔見た映画「渚にて」を思い出す。
鳳凰三山での反省もコロッと忘れ、再び息子たちを連れて南ア茶臼岳へ。
北アのようなにぎやかさはなく、小屋も素泊まり。
この日は私たち親子だけだった。

大井川・畑薙ダム湖上流の畑薙おおつり橋
茶臼岳の小屋にいたワンくんたちに、熱烈歓迎されたのもこのとき。
山小屋の地面に穴だけ開いたボットン便所、板敷に雑魚寝。
息子たちはそういう不自由さをむしろ面白がった。
小屋番のおじさんとの焚火も贅沢な遊びになった。

だからこそ、このプロジェクトは本当に必要なのかを考えるべきで、
知事がああ言ったの、前とは違うことを言ったウソつきだのって、
うるさい小姑みたいな揚げ足取りをしている場合ではないんじゃないの?
南アは年間数ミリずつ隆起しているそうで、
数ミリとはいえ、この地殻変動は恐い。
断層の破水帯から突発的に大量の湧水が噴き出す懸念もあるそうだし。
JR東日本の松田会長とJR東海の会長だった葛西敬之氏は共に、
国鉄民営化の立役者だったそうですが、その松田氏が、
「俺はリニアには乗らない」と言ったことが、
すべてを語っていると、私は思います。
南ア北岳へ行く途中のお花畑。
小屋へ着くなり次男がひどい頭痛と足の痛みを訴えた。
高山病だとみんなが心配してくれたが、私はなぜか悠然と。
というより、実はどうしていいかわからず頭の中が真っ白に。
今なら冷静になって、ヘリコプター要請と騒ぐはずなのに。
幸い大事には至らず、翌朝は小屋の御主人特製の味噌汁をいただいて、
元気に登頂。思わず「山の神さまありがとう」と。

「潔く引き返す」という登山のルールは、リニアにもあてはまる。
でも、企業が一度決めたことから引き返すのはなかなか大変。
突き進んで失敗したら「想定外だった」という言葉も用意されている。
準・国策事業のお墨付きも得ているし。
リニア破れて 山河荒れ、日本壊れた
になるか、はたまた、
リニア走って 山河荒れるも 日本栄えた
になるかは、のちの歴史のみぞ知る。
荒地に咲くコマクサ

このプロジェクトへの投資を、現在の鉄道の保全に使う方がいいと思うし、
日本の再生のために、
山林、農地、牧畜、漁業、そういうところへ補助金とする方がいいなぁとも。
外国では自国の食料自給率を守るために、
農民などに7割、9割の補助をしているという。
日本政府はこういうことを真剣に考えて欲しい。
だって、飢餓になっても、リニアは腹の足しにもならないんだから。


静岡県のHPの
「リニア中央新幹線」をご覧いただけたら、
真面目に取り組んでいる姿勢がわかっていただけるかと思います。
※参考文献
「リニア中央新幹線をめぐって」山本義隆 みすず書房 2021
「福島の原発事故をめぐって」山本義隆 みすず書房 2011
「南アルプスにリニアはいらない」宗像 充 オフィスエム 2018
「リニア新幹線が不可能な7つの理由」樫田秀樹 岩波書店 2017


山本義隆氏の著書には、ものすごく多くを学ばせていただきました。
氏は「解析力学」や「磁力と重力の発見」など多数の著作と、
数々の受賞歴のある物理学者、科学史家です。


南アのリニア問題から息子たちと歩いた南ア登山まで思い出して、
長々書き連ねてしまいました。みなさま、申し訳ない。
私が愛した南アルプスの悲鳴が聞こえるようで、いたたまれず。
でも言いたかったことを言わせていただき、すっきりしました。

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