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「チョウゲンボウ」第53号

力石余話
08 /05 2020
金沢大学の一般社団法人「e教育サロン」から、

機関誌「チョウゲンボウ・第53号」(8・1)が送られてきました。

この機関誌は毎月一回発行で、
執筆者のほとんどは、医学・工学・理学の学者さんたちです。

そこへ名もない私の、これまた「石っころ」の記事ですから、
先生方は、さぞかし面食らったことと思います。

これは同大を卒業されて、現在高校で教鞭をとられている友人の
舟田節子先生が声をかけてくださって実現したものです。

主宰者の鈴木健之先生からのご厚意もあって、
ドキドキしながらも気持ちよく書かせていただきました。

3回もの掲載で、今回の53号は最終回。
内容はみなさまにはおなじみの「神田川徳蔵」です。

「チョウゲンボウ・第53号」

なお、この号でもコロナに関した興味深い記事が載っています。

金沢大学総合メディア基盤センターの森祥寛先生の、
「遠隔配信授業などの実施について」と題した現状レポート。

また、
「新型コロナウィルス(CoV)はどんなウィルスか! 生化学的見解」と題して、
京都学園大学(現・京都先端科学大学)名誉教授の
中村正彦先生が解説しています。

時代の最先端を行く、こうした先生方の論文の中に、
時代に置き去りにされた「力石」の記事ですから、そりゃもう嬉しさ全開

思いもしなかったことが起きるものですね。

下の写真は、「東海力石の会」のユニホーム姿の私です。
同会の主宰者・大江誉志氏からのプレゼントです。

このか弱い背中で「力石」を背負ってまいりました。なんちゃって!

CIMG3923_202008030342378c6.jpg

力石探索にはたくさんの困難があったけれど、

よき師・高島愼助先生、よき先輩・斎藤氏、
そして多くのよき情報提供者に恵まれて、

ただおもしろくて楽しくて、夢中で走ってきました。

そしたら、いつの間にか年を取って、資料もたまった。
でも、どんなことにも無駄はないことを実感。

若い方はもちろん、人間いくつになっても、

可能性は無限大だよ~!

と、声をかぎりに叫びたい。

この「チョウゲンボウ」掲載に際して、
流通経済大学の学長・野尻俊明先生から、嬉しい言葉を頂戴しました。

3個の力石を新校舎のエントランスに設置したあの大学です。

力石を介して、またブログを通じていろんな方とご縁ができました。

みなさまに感謝申し上げます。

      ーーーーー◇ーーーーー

高島先生ブログ(8・4) 
「大阪府豊能郡豊能町高山・高札場」

キリシタン大名・高山右近の出生地にある力石です。

高槻城の城主・右近は、家康のキリシタン追放令で
フィリピンのマニラへ脱出するも、翌年その地で没してしまいます。

追放令などのお触れを出した高札場に力石とは、
なにか理由があるのか、それとも偶然?


 「梅雨去ってやれやかましや蝉しぐれ」  雨宮清子


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ほっこり

力石余話
07 /21 2020
埼玉在住の斎藤氏から、こんな写真が届きました。

某家の墓地に建立されていたお地蔵さまです。

マイク握って、十八番を熱唱中です。

地蔵斎藤カラオケ

故人はカラオケが大好きだったんでしょうね。
右手で頭のかくのがクセだったのかな? 照れ屋さんだったかも。

いまごろは天国でも仲間を集めて、
「ここはコロナの心配もないしナ」なんて言いながら、楽しんでいるかも。

今、コロナで世界中、大変です。
マスクでみんな「言わ猿」に変身しちゃったし、
手洗いで、「アライグマもどき」になっちゃったし。

失業者も増えて経済も傾きつつあるというし。

そんな中でもマイクを話さないお地蔵さまが、もうお一人いらっしゃいます。
口紅をつけているから、女性でしょうか。

ここのお地蔵さん、お二人ともサウスポーみたい。
それともマイクは利き手とは反対の手を使う方がいいのかなあ。

これはカラオケ愛好者さんにお聞きしたい。

で、左利きといえば、
私の左手の親指と人差し指の間にやけどの跡があって、
どうやら左利きを治そうと母親がお灸をすえたらしい。

昔は世間体を気にして、むごいことをやったんですね。

2斎藤地蔵
埼玉県越谷市相模町・大聖寺

暗雲立ち込めたとき、「民衆はどのように行動したか」
という本を読みました。

世界大戦がはじまったころの東京では、都民は娯楽に走ったそうです。
驚いたことに空襲が激しくなると、映画館は今まで以上に行列ができたとか。

ドイツでも同じ現象が起きたことが、
「独裁者ヒトラーの時代を生きる」(大島隆之)にありました。

つまり、これらは、
「ひどい現実から少しでも逃避して楽になりたい、という願望」だとか。

これが暴力や性暴力に走ると恐い。

お地蔵さんに話を戻します。

大聖寺のマイクを握ったお地蔵さまの正式名称は「ぴんころ地蔵尊」

「健康で長生きし(ぴんぴん)、寝込まず大往生(ころり)
そういう願望から生まれたから、「ぴんころ地蔵尊」だそうです。

建立したのはカラオケ愛好者たち。

1斎藤地蔵

現実逃避といえば、幕末の「ええじゃないか」もありました。
あれは官軍が目くらましにやったとの説もありますが、
ともあれ、
民衆は天から降ったお札に夢中になって踊り狂った。

新選組の近藤勇が処刑されたとき、
その近くの神社で力持ち興行があったというのですから、
お上と民衆は、それぞれ別世界に住んでいたってことでしょうか。

近藤勇といえば、
渋沢栄一が徳川慶喜公の家臣になっていたとき会っているんですね。

上田市の栄一の力石探訪は中断していますが、
このことは再開したおりに改めて書きたいと思います。

さて、力石です。

この大聖寺の力石をご紹介します。

斎藤氏、やっぱり力石専門ですからね、抜け目はありません。

3斎藤地蔵

   「奉納 玉子石 文政十年 当所 半蔵」

今から193年前の力石です。

草むらに「ころり」していますが、

今も「ぴんぴん」しています。

     
      ーーーーー◇ーーーーー

高島先生ブログ更新
(7・19)「流通経済大学の力石」
   わたくしめの短歌が載っています\(^o^)/

(7・20)「茨城県五霞町江川・路傍」

(7・21)「さいたま市岩槻区古ケ場・八幡神社」


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追悼・さくらちゃん

力石余話
07 /17 2020
今月初め、岐阜在住の大江誉志さんから、

「今年3月、愛犬さくら他界しました」

という、つらく寂しいご報告をいただきました。

さくらちゃんは力持ち大会へ出かけるご主人さまのお供をして、
どんな時にも常に寄り添っていたワンちゃんです。

いわば、「力持ちと力石」に精通していた唯一のお犬さんです。

在りし日のさくらちゃんです。
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姫路市大津区・天満神社(蛭子・神明)にて

周りがどんなに騒ごうが、子供たちがちょっかいを出そうが、
さくらちゃんは全く動じません。

ひたすらご主人さまを思い、人垣の向こうに目を凝らしています。

石を挙げる大江誉志さんです。

美しいフォームです。

江戸時代に生まれていたら、
錦絵に描かれて、町娘たちの胸を焦がしたはず。

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大江さんはケトルベルトレーナーです。

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学生時代は極真空手をされていたそうです。

そしてなんと、
師匠の高島愼助先生は師範だったというので、もうびっくり。
今の先生からは想像もつきませんです。

大江さん(左端)のお仲間、「東海力石の会」のメンバーです。

1東海力石の会

大江さん、実は昨年引退を表明していたんです。

日ごろ、己に過酷なほどの鍛錬を課している人ですから、
力石への取り組みも安心して見ていましたが、
それでもケガのないよう、いつも念じていました。

だから、引退と聞いてホッとしたのも事実です。

でも、メールにはこうありました。

「雨宮さんが力石を盛り立ててくれている。
それを見て、私もまだまだがんばらねば、と」

「盛り立ててくれている」って、なんだか気恥ずかしい。

だって私は、力石のお菓子を食べるだけの「力なし」で、
ただぬくぬくと部屋にいて、知ったかぶってわめいているだけだから。

CIMG1184 (2)

でも本物の力持ちに「価値あるもの」と認めていただけた。
老骨に鞭打って、あとひと踏ん張りするかという気持ちになりました。

大江さんは、
今年は富山、石川、姫路の力持ち大会への出場を計画しているとのこと。

そして、三重県桑名市の神社から、
来夏、力持ちの披露の依頼が「東海力石の会」へ入ったとのこと。

そうか。

そう決心されたのなら、
口うるさい母親みたいなのはキッパリやめて、
全力で応援しなくちゃ、申し訳がたちません。

守護神さくらちゃんのいない夏。

「監督不在の初めての大会です」と大江さん。

石に手をあてて気を集中
見る側にもそれが伝わり、すべての音が遮断されて周囲が真空状態になる。

CIMG2627_2020071511023860d.jpg

やみくもに力を出しても、石はあがらない。
持ちあがるかどうかはすべて呼吸にあるという。

大江さんはそのタイミングが実にうまい。

CIMG2626 (2)

さくらちゃんと大江さんは、
奥さまさえ入り込めないほどの固い絆で結ばれていた。

だから今もご主人さまのそばにいて、
この慈愛に満ちたまなざしで、しっかり見守っていると思います。


※大江さんより
 「7月の富山、8月の石川県での大会は中止になりました」
  と、お知らせいただきました。コロナ禍のため。

     ーーーーー◇ーーーーー

ブログ「へいへいのスタジオ2010」のへいへいさんご紹介の記事です。

以下のURLの中に「sactuary stones」という個所がありますので、
そこをクリックしてお楽しみください。翻訳機能で簡単に読むことができます。

「スコットランドで見つけた石」

     ーーーーー◇ーーーーー

高島先生ブログ、更新。「稲敷市月出里花指・鹿島神社」


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なすとっかえ

力石余話
07 /11 2020
力石の民話のご紹介です。

こちらもブログ「山の彼方に」の安田和弘氏からいただいたものです。

民話の舞台は、埼玉県川越市の藤間諏訪神社

民話に行く前に、この神社の力石をご覧ください。

「藤間諏訪神社の力石」(2017・6・11掲載)

民話「お諏訪さまのなすとっかえ」

始まり、始まり!

「藤間の諏訪神社の近くに、清吉という若者が住んでいました。
でも清吉は夏になるとどういうわけか、
畑仕事もできないほど体の調子が悪くなる。

今年もお諏訪さまの夏祭りがやってきて、
村の若者たちは力石を持ち上げる力くらべに大張り切り。

清吉は今年こそ持ち上げて、おなっちゃんと夫婦になりたいと思うものの、
石を動かすどころかひっくり返ってしまう始末。

そこで諏訪神社の神さまに、
「どうか力を授けてください」と一生懸命お願いしたところ、
茄子を食べなさい、と。

言われるままになすを食べたら、石は見事に持ち上がり、
めでたくおなっちゃんを嫁にできた。

これが評判となって、村の人たちはなすを奉納するようになったそうな」

茄子の威力、すごい! 「おたんこなす」なんて言えませんね。

こちらは川越市の広報紙に掲載された力石記事です。

「広報紙に掲載されました」(2019・3・20掲載)

安田さんによると、市民センターの看板にも力石が書かれているそうです。

で、なぜ「とっかえ」かというと、
なすを2個奉納したら1個、4個なら2個いただいて帰るからとのこと。

この珍しい神事、実は狭山市のが有名で、
それが川越の藤間諏訪神社にいつ伝播したかは不明だそうです。

狭山市「なすとっかえ」の動画をご覧ください。

「お諏訪さまのなすとっかえ」



ここのいわれは、

「神社の裏の池に龍が住んでいて、ある日、大暴れ。
びっくりした村人が採ったばかりのなすを放り投げたら、
そのなすを食べた龍の病気が治った」

以来、「なすは夏の毒消し」とされて、今日に至ったそうな。

龍も病気になるなんて、初めて知りました。

それに龍がナスを食べる姿って、なんだか漫画みたい。

昔の人の創造力には脱帽です。


※参考文献/「高階のむかし話1」高階のむかし話編集委員会
         川越市高階公民館 1991


 
 ーーーーー師匠の高島先生がブログを再開しましたーーーーー

力石とそれを詠んだ句や歌を紹介するという新趣向です。
どうぞのぞいて見てください。

「力石を詠む(十)」(2020・7・12)

     「力石たれも触れずに苔の花」   天口進

      山形県最上郡金山町・熊野神社


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「チョウゲンボウ」第52号

力石余話
07 /03 2020
先月6月7日に以下のご報告をいたしました。

それは、
金沢大学の外郭団体「e教育サロン」の機関誌に、
私の力石の記事を載せていただいた、というお知らせでした。

これです。

「ビッグニューーース!」

そして先月に引き続き、今月号の、

「チョウゲンボウ」第52号に、2回目が掲載されました。

この機関誌は、
金沢大学に関係する医学・工学・理学の学者さんたちが、
それぞれの分野の研究発表を行っているものです。

私には高くて遠くて難しい世界です。
そこへ、
社会の片隅でくすぶっている力石の記事を掲載してくださったのですから、

もうね、気恥ずかしさを通り越して、

夢のよう\(^o^)/

とにかくご覧ください。

ブログをお読みくださっている方々には、
すでにご存じの内容ですが、ぜひ、また見てください。

「チョウゲンボウ」第52号

この中に、金沢大学名誉教授の本浄高治先生が、
力石を調査し、

2010,2014、2016年の3回、
ご自身のブログで紹介されたURLが記載されています。

その中で、
師匠の元・四日市大学教授の高島愼助先生の「力石研究室」や、
「東海力石の会」の大江誉志さんの動画も取り上げてくださっています。

あわせて、ぜひご覧ください。

こういう方が力石に目を向けてくださっていることは、
本当に嬉しく、心強いです。

そして、力石の記事は来月も続きます。
全3回。

やっぱり、夢のよう\(^o^)/


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雨宮清子(ちから姫)

昔の若者たちが力くらべに使った「力石(ちからいし)」の歴史・民俗調査をしています。この消えゆく文化遺産のことをぜひ、知ってください。

ーーー主な著作と入選歴

「東海道ぶらぶら旅日記ー静岡二十二宿」「お母さんの歩いた山道」
「おかあさんは今、山登りに夢中」
「静岡の力石」
週刊金曜日ルポルタージュ大賞 
新日本文学賞 浦安文学賞