穴です。「なんだ、穴か」と”あな”どるなかれ

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神社の手水石や常夜灯などに「穴ぼこ」があるのを見たことはありませんか?

例えば、こんな穴
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みなさん全く気にも留めませんが、こんな穴にもそれなりの理由があるんです。
これは静岡市の静岡浅間神社の石橋です。
もうボコボコ。

静岡浅間神社です。今川氏、徳川氏の厚い庇護を受けてきました。
「稚児舞」が有名です。
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静岡浅間神社には「赤鳥居」と「石鳥居」があります。
穴の開いた石橋があるのは、「石鳥居」の側のこの橋です。
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これ、「盃状穴」(はいじょうけつ)というんです。
盃状(さかずきじょう)に穿った穴。
この命名は昭和55年と新しいんですね。
山口県の古墳から21個もの穴を穿った石棺(蓋)が見つかったそうです。
そこで、発掘に携わった大学教授によって「盃状穴」と命名されたということです。

でも、石に穴をあける風習は古くから世界中にありました。
日本で大流行したのは、江戸時代です。
当時、なんて言っていたのかわかりませんが、一種の「石穴信仰」なんです。

石穴信仰には、願い事が叶ったら小石に穴を開けてお地蔵さんなどに供える
「おはたし石」があります。
願いが通った、耳の通りが良くなったというわけで、
穴を開けてお礼をしたわけです。

三重県鳥羽市には、
海女さんたちが安全と大漁を祈願する「洗米石」というのがあるそうです。
これがかつて使われていた鳥羽市相差町の「洗米石」です。
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現在の「洗米石」はこちら。
海女さんの魔除けの「セーマン(星形)」に穿たれていて、
穴に洗米、小豆、魚、野菜、酒を供えるそうです。これも盃状穴の一種です。img218.jpg

「韓国にもありますよ」
と教えてくださったのは、蔚山大学校人文大学の魯成煥教授です。
魯教授は、大阪大学で博士号を授与された方で、
京都の国際日本文化研究センターで、
日韓比較神話・民俗学の研究をされていました。
研究を終えられ帰国する日に、日韓の民俗についてお聞きしたわけです。

「韓国では女の穴といわれています」

そうなんです。
石に穿ったこの穴は、「女の穴」「性穴」と呼ばれる穴だったんです。
変な意味にとらないでくださいね。
みなさんがごく普通にくぐる神社の鳥居も、
富士山の風穴や氷穴もみ~んな「女の穴」なんですから。

つまり「命の誕生」「命の再生」のための場所、神聖な穴なんです。
そこから作物の豊穣を願う思想も生まれました。


この穴が力石にも穿たれているんです。
次回はそのお話です。



※資料・写真転載/「伊勢民俗」第41号 「現代の盃状穴ー鳥羽市相差町の石穴信仰」
             橋本好史 伊勢民俗学会 2012



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